2024.03.28

【サイト内検索の終焉は本当か!?】業界大手のNTTドコモに聞く「人間の欲求がある限り検索はされる」

OCN部スマートナビゲーションセールス・マーケティング担当 赤尾一臣課長(左)とOCN部スマートナビゲーションセールス・マーケティング担当 北岡恵子主査(右)


2023頃からEC業界において、「ECサイト内検索ソリューションの重要度が低くなった」などの声が聞かれるようになった。背景にはウェブ接客ツールの台頭が関係している。ウェブ接客ツールの中にはユーザーの過去の行動ログを分析し、悩みを解決する最適解の提言をするサービスも現れている。「ECサイト内検索ソリューションは下火になってしまうのか」ーー。業界大手の「goo Search Solution」を提供するNTTドコモの赤尾一臣課長と北岡恵子主査に聞いた。



ーー2023年から「ECサイト内検索ソリューションの重要度がウェブ接客よりも下がっている」と聞くようになった。このことについて貴社はどう捉えているか?

北岡:当社としては、 ECサイト内検索ソリューションもウェブ接客ツールも両方提供しており、どちらも企業のEC売上高増加には欠かせないものだと考えている。ECサイト内検索ソリューションはユーザーが検索するとき、ウェブ接客はユーザーとリアルタイムで会話をするとき、どちらも全く別の使い方だが、企業の売り上げ増加に寄与するものだと思っている。

ーー貴社は断片的ではなく、包括的に企業の支援ができるということか?

赤尾:当社は先ほど申し上げたECサイト内検索ソリューション「goo Search Solution」やマーケティング支援ツール「Sienca」などを活用して、企業の課題を全面的に解決するソリューションパッケージ「eコマースsuite」を提供している。

「eコマースsuite」では、集客課題、検索課題、顧客体験課題、システム構築課題などの解決を行う。集客課題では、サイトコンサルや広告運用、ウェブマーケティングなどで課題解決に注力する。検索課題では、「goo Search Solution」が活躍する。顧客体験課題では、AIチャットボットやウェブ接客などで課題を解決する。やはり特定の部分ではなく、その企業全体を見て、最適な支援を行えることが強みだ。
 
ーー実際に貴社には「ECサイト内検索ソリューション」の利用をやめるなどの声は届いているのか?

赤尾:現時点では届いていない。ここからは私見になるが、まだ現時点では「ECサイト内検索ソリューション」と「ウェブ接客」は共存するものだと考えている。今後、技術が進んで、双方を補えるサービスの提供が可能になると思われる。そうなったときのためにさまざまな準備は開始している。

北岡:ここからも私の私見になるが、グーグルはこれまでAIに関するサービスの提供を行ってきたが、それでもまだ検索サービスは使われ続けている。グーグル検索が使われないときが来たら、検索の方法が大きく変わるタイミングなのかもしれないが、今ではない。

人間には”ほしいものを探す欲求”は絶対あり、そのときはやはり”検索”をする。それに併せてECサイト内検索ソリューションは活躍するはずだ。

30種類のサプリメントを取り扱うEC企業の場合だと、「ウェブ接客」で対話を重ねながらその人にとってお薦めのサプリメントを提案するということはある。だが、数百種類のネジを販売する企業の場合だと、果たして深い対話はいるだろうか。型番のみ分かっていたらすぐ商品が分かるため、そのようなときにECサイト内検索は活躍するはずだ。ほしいものが決まっている人とそうではない人の場合だと、ツールの使い方は変わってくると感じている。

ーー近年だと消費者のオフライン回帰も活発化している。貴社としてOMOを支援するサービスの提供は検討しているのか?

北岡:コロナ禍でECサイトを見て、店舗で商品を購入してもらう。逆もしかりで多くの企業がどこで購入してもらったかについて、そこまで以前ほど気にすることは減ってきている印象を受ける。購入場所に特にこだわらず、売り上げをきちんと上げることに焦点を当てている企業が多い。

そうは言っても、やはりECと店舗のOMOは重要な話題だ。すぐには実行できないが、店舗で商品を見た人が、自宅に帰って「あの商品もう一回見たいな」と思い、「茶色のコート」と検索すると、購入したい商品が高確率で提示できたらおもしろいと思う。

赤尾:昨年、NTTドコモの一員になったことで、さまざまな新たな連携ができるようになると想定している。例えばだが、店舗で靴を「d払い」で購入した人がいたとする。その後、ECサイトに訪れたとき、買った靴に似合うコートやシャツやバッグを検索で提示することなどもできるはずだ。検索結果を連動するほか、レコメンドで提案することも、広告を表示することも可能だ。連動させることでECサイトはよりパーソナライズ化され、購入体験は格段に向上できると思っている。






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