2024.01.31

【有識者に聞く!2024年のEC市場展望】薬事法広告研究所 稲留万希子代表「『措置命令第1号』の発表後の動向に注目」

テーマ:ステマ規制・景表法


薬事法広告研究所は、広告に関するコンサルティング業務や市場調査、広告宣伝に関する業務を行っている。通販・EC業界の広告においては2023年、ステルスマーケティング(以下ステマ広告)に対する規制がスタートし、大きな話題を呼んだ。2024年は、ステマ広告規制の初執行が行われるかどうかにも注目が集まる。同規制開始後の市場の動向などについて、広告規制事情に明るい稲留万希子代表に話を聞いた。



2023年10月、ステマ広告への規制がスタートした。

同法の指定告示として、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」が新たに追加された。事業者が、インフルエンサーなどの第三者に依頼する広告表示で、「広告であると分かりづらいもの」が、規制されることとなった。

規制開始後の状況を見ると、必ずしも表記が必要ないケースも含め、あらゆるものに、「広告」「PR」と表記されるようになっていると感じている。

Youtuberやインフルエンサーは、何らかの商品を紹介する時、何かにつけて「案件ではない」「広告ではない」と過剰なほど言うようになっている印象だ。

消費者目線で見れば、「広告であるかどうかが分かりやすくなってありがたい」ということになるだろう。

一方で、事業者にとっては、プロモーションの幅が狭まるという課題もある。

一般消費者の間では、「ステマ規制」への誤解が広まっているとも感じている。消費者の「ステマ規制」への誤った認識によって、事業者の過失ではない表示が、SNS上で炎上してしまうリスクもある。

誤った認識がスタンダードになると、事業者が過度に萎縮し、結果的に機会損失につながりかねないとも考えている。

事業者目線で考えて気になるのは、「措置命令第1号」がいつ発表されるかだ。摘発されれば、「どういう事例が措置命令の対象になるのか」が具体的に分かるようになる。

ステマ規制などコンプライアンス面で非常に厳しくなっている今の状態が、一過性のものなのか、はたまた今後もずっと続いていくものなのか、「措置命令第1号」の発表後の動向も気になる。

さらに、2020年に発表された、日本化粧品工業会による現行の「化粧品等の適正広告ガイドライン」が、今後どのタイミングで、どの程度刷新されていくのかにも注目している。

厚労省は今年、「医薬品の販売制度に関する検討会」を立ち上げた。この検討会では、医薬品のネット販売の全面解禁に向け、ルールに関する取りまとめに向け議論を行ってきた。

事業者にとっては販路拡大や新たな商機につながるだろう。






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