2024.01.22

【〈記者座談会〉2024年のEC市場予測】《⑤ 注目ECサービス》グイグイ進む動画化、AI活用

ライブコマースは引き続き流行る


黒田
:2024年に注目しているECサービスを聞いていきたいと思う。

坂本:個人的にライブコマースが引き続き流行すると思う。以前、取材した芸能人の北斗晶さんと西山茉希さんのライブコマースを見てから、その場でモノが売れていく環境に驚きとともに可能性を感じた。

パロニムが提供する店舗でスマホ撮影して、ブルートゥースで接続するだけで配信可能なライブコマースのツール「Tig LIVE」もある。商品のバーコードを読み込んだだけで、視聴者に商品情報を表示して、そのまま購入を促すことができる。

視聴者が「これ映してください」「これどのような感じですか」と言ったときに、それをすぐその場で映す。視聴者が「ほしい」と思ったときに、即座に買えるところが面白い。

手塚:ライブコマースのコンテンツをアパレル企業もうまく活用している。商品ページの下部にライブコマースの動画を埋め込んでいる企業も多い。

ライブコマースの動画は、商品ページのコンテンツとしても二次利用できる。ライブコマース中にその場ですぐに買ってもらうのは難しいと思うので、うまくライブコマースで成功している企業はそのような活用方法もしているのだろう。

黒田:私もライブコマースには引き続き注目している。個人的にライブコマースで売り上げを作れる企業は、効果的な活用方法を心得ている。

コロナ禍にライブコマースを活用する企業は増えたが、「ただ配信するだけ」も多い。配信することに全てのリソースを集中している企業が多かったイメージだ。

アフターコロナの現在では、それだけで売り上げを作ることは難しい。ライブコマースで成功している企業は、ライブコマース配信前、配信中、配信後の3軸で対策している。

ライブコマース開始日程をSNSで投稿したり、インフルエンサーに投稿を依頼したりして、視聴を見逃させない。配信中では、きちんと視聴者と会話を楽しんで飽きさせない。そして配信が終わったら、二次利用として活用する。

ライブコマースで分かった情報を生かさないのはもったいない。そこで得た情報を生かしていかに有効なクリエーティブを作れるか。ここが鍵な気がしている。

ライブコマースのコンサルティングなどを行うTailor Appの松村夏海代表も、「近年のライブコマースは、ライブコマース中ではなく、ライブコマース終了後にいかに売り上げを増やせるかという段階に入っている」と言っている。


大手からECサイトの動画化が加速


手塚:ライブコマースのコンテンツ活用も進んでいるが、ECサイトの「動画化」が浸透しているなと思う。商品ページに商品紹介動画を埋め込むサイトが増えていることで、いろいろな角度から商品を確認することができる。ファッション系だとユニクロが動画活用の代表例となっている。

2024年から、大手企業を中心にECサイトの「動画化」が当たり前になっていくだろう。「visumo(ビジュモ)」などECサイトに動画を簡単に埋め込むことができるツールも活用が進んでいる。

ECサイトで商品紹介動画を見ることに慣れてしまうと、静止画だけだと、つまらない感じに、”見劣り”してしまう。視聴者がいろんなブランドを横断的に見たときに、「このブランドの商品画像は動かないから、ちょっとつまらない」という風に思われてしまう可能性が出てくるなと感じている。



<記者が考える2024年のキーワード>


▲坂本凪沙記者

「ライブコマース来るか」

商品ページに配信動画を埋め込み、ライブを視聴しなかった人にも訴求できる。アパレル以外でも広がる予感。


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