2024.01.22

【〈記者座談会〉2024年のEC市場予測】《⑤ 注目ECサービス》グイグイ進む動画化、AI活用


2024年は中小企業が使えるAIが普及


黒田:最近だと、ECのAI活用も進んでいる。

手塚:2023年の初頭から、生成AIなどの新しいサービスが台頭した。便利なサービスが徐々に出てきて、多くの人が利用するようになっている。

2023年の後半には、楽天グループやGMOインターネットグループが、生成AIを使った汎用性の高い、中小企業でも使えるサービスの提供を開始すると発表した。まだ具体的なサービスは出ていないが、そのような動きは、2024年以降、どんどん出てくるはずだ。

中小企業でも生成AIなどを巧みに使えるようになると生産性向上につながる。人件費の高騰もうまく吸収できると思う。


メタバースECにも確かな可能性


黒田:酒井さんはどうか?

酒井:メタバースに可能性を感じている。2023年初頭にはKDDIがαU(アルファユー)を発表し、同10月にメタバースECを開始した。

メタバースに関してハコスコという注目企業もいる。先日、大日本印刷が子会社化したのだが、ハコスコはVTuberをインフルエンサーとして活用し、メタバース内でイベントを実施した。

そのハコスコがサザコーヒーと協業してVTuberを起用して、「1日カフェ」みたいなのをメタバースで実施した。個人的に面白い取り組みだと感じている。対面の接客だと気を遣うが、メタバースだとふらふらと、ほど良い距離感を保てる。一定のニーズはあると思う。

黒田:アパレル大手のパルは一昨年、KDDIのメタバース空間「バーチャル渋谷」に出店した。パルの堀田覚氏によると、なかなか購入につながりにくかったという。来場者数には手応えはあったが、最終的な購入につながるところは足りなかったと話していた。

分析をしていくと、10代後半から20代初めくらいの若い層が来てくれるが、その層は積極的な商品購入にはつながりにくいと言っていた。確かにその層は金銭的に余裕がある人は多くない。

来年、再来年ははやらないかもしれないが、5年後、10年後で見ると、今から仕込んでおいたほうがいいだろう。将来的にメタバースのようなバーチャル空間は一般化するはずなので、そのときに備えることが重要だと感じる。

手塚:ライブコマースもメタバースも、コンテンツが重要になる。ライブコマースは成功事例が出始めてきているが、メタバースはまだ成功事例が少ない。

先ほどのVTuberを活用するなど、成功事例が出てくると、多くの企業がまねしてやるようになり、そうすると、メタバースの可能性は広がる気がする。



<記者が考える2024年のキーワード>


▲酒井琴音記者

「体験価値がより重要に」

パーソナライズした情報提供やサイトの没入感など、長期の物価高の状況でも購買意欲をかきたてる取り組みがさらに加速するだろう。












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