顧客データを預かるためのタッチポイント
ーーリアル店舗でよくある顧客データの取得方法はLINEなどといわれています。実際にはフォローやDLされて登録されることがないのではないでしょうか。良い施策事例などはあるのですか?
吉村:自分自身を顧客の視点として見つめなおして、そして、店頭のスタッフの声を拾って、施策の企画を考えて、店頭で実行している企業は上手く成功しています。
1つは、経済的メリットでの訴求ポイントをうまく作りだすこと。
例えば、コストコが良い事例だと思います。年会費を3000円いただいて、5000円分のストアクレジットやポイントを付与することで、年間ではF2転換への行動も期待できているなどの成功している施策はあります。
1つは、スタッフと顧客の接客・会話の流れで無理強いをしないこと。
ここで、現場のスタッフからリクエストされることは、リアルな店舗ではさまざまな状況、レジ待ちで混みあっている、お客さまのご都合などで「顧客登録」のためのご案内、ご推奨ができないこともあるので、購入後でも顧客がアプローチできるフローを用意してほしいとのリクエストがあります。
とある九州のリアル店舗も有する製造小売では、7日間であればレシート確認で購買ポイントを付与できるリワードプログラムを導入して運営され好評を得ています。
このチョットした手間のあるサービスで登録数もアップしていますし、再購入へのリテンションも展開できるようになっています。
デジタルコマース・マーケットプレイスへ拡大
ーーデジタルコマースはやはり最大の関心であり、購入チャネルやマーケティングとしても成功するポイントについては関心が高いのですが、製造小売企業はどのように成長、成功されているのでしょうか?
菅沼:アナログチャネルである通販・ダイレクトマーケティングから、楽天への出店、自社サイトでのEコマース、そしていまはAmazonへの出店など時代とともに、「売れる」ということでチャネルを追加され展開されている製造小売事業者は多いのが現実です。
そのために、デジタルチャネルからコマースビジネスに進出したスタートアップなど企業とは別の課題があります。
それは、注文処理だけでもシステムを複数利用する必要があるということです。
それでも、充分にバックオフィス業務として回っていくのですが、自社コマース担当、マーケットプレイスA担当と役割を分けて運用されていることも多くなります。
これを効率化して顧客と商品をみえるようにするには、サイト管理、注文管理、出荷管理、在庫管理、発送照会などの一連のバックオフィス業務はまとめて運用できることがポイントになります。
これでコマース事業全体が見えるために、各チャネルでの施策に対応した運用が可能になります。
たとえば、Aチャネルの●●セール時には、自社サイトではキャンペーンをしないで、最適価格で販売して利益確保をしつつ、業務平準化をするとかをされています。
Amazonのように、ピーク時には1日あたりのお届け可能数を設定して顧客に提示することも重要な購入体験となっています。
これを一元管理するメリットは顧客と商品との関係性を知る上でも重要になってきます。
マーケットプレイスでは、顧客情報は保持できませんし、CRMは一部のステップに限られています。
しかし、この顧客行動と商品のデータを活用することはとても大切です。規約に従った形で活用できるデータとして保持して分析すれば、自社コマースなどの他のチャネルでの施策に活用することができます。
効率化とは業務の標準化でもあり、それをシステムのカスタマイズに求めてもROIとしてはメリットがでないことは、私たちがパッケージとカスタマイズで企業に提供してきた経験からも実証されています、だからこそ、中堅・小規模の製造小売向けとして使えるように、システム機能とコストをバランスさせています。
これには、サポート体制が必要ですのでそこに厚みを持たせていますし、必要な機能更新にも反映しています。
製造小売のクライアントからは、「私たちのチームスタッフが処理に費やす時間が減れば減るほど、価値の高い顧客とのやり取りに集中できるようになりました」「最終的にはそれらの顧客を生涯にわたって商品・企業ブランドとともに維持するための、毎回素晴らしいコミュニケーションと顧客体験を提供できるようになりました。」
と言われています。
そして、効率化は、スタッフがその過程を実感して、利益から報酬として還元できることで改善への動機と実行が生まれ循環が始まります。