2024.01.15

【有識者に聞く!2024年のEC市場展望】アグザルファ 比良益章社長「生成系AIや動画で新たな購買体験の提供へ」

テーマ:「ECモール」
 

アマゾン出品者のコンサルティングを手掛けるアグザルファの比良益章社長は、2024年のアマゾンについて、「生成系AIや動画による商品紹介を通して、新たな購買体験の提供が進む」と予測している。


2024年のアマゾンについて、5つのポイントがあると考えている。

1つ目は、「アマゾンが生成系AIを活用した新たな購買体験の提供に注力していく」ということだ。アマゾンは、生成系AIのスタートアップ企業であるAnthropic(アンスロピック)に最大で5900億円を投資することを発表している。また、音声AIの「Alexa(アレクサ)」にも生成系AIを搭載。会話を記憶するなどにより、より人間に近い会話が可能になった。

今後は、消費者が、生成系AIとの会話やチャットの中で、よりパーソナライズ化された商品を紹介されたりして、購入するケースなども一般的になっていくことだろう。

2つ目として、「独自配送網を強みに、事業者と消費者の双方の囲い込みを強化していく」ということがある。米国では、アマゾン以外からの注文でも、アマゾンの配送員が集荷や配送をする「Amazon Shipping(アマゾンシッピング)」を展開している。このサービスは事業者がアマゾンの倉庫に商品を預けなくても、自社の倉庫からアマゾンの独自配送網の利用が可能だ。

今後は、消費者もアマゾンの独自配送網を利用することが可能になり、配送面においてもアマゾン依存が進んでいくことだろう。

3つ目として、「今後はライブコマースやショート動画など、動画を活用した商品訴求がさらに盛り上がっていく」ことだろう。米アマゾンでは、ライブコマースやショート動画のサービスが展開されており、今まで以上に注目されている。消費者がこういった動画を通じて、自身の好みに合った商品を偶然に発見し購入するといった機会も増えていくと考えている。

動画による商品紹介は訴求力が高い。動画を活用した販売戦略が問われていく。

4つ目として、「大手ブランドなどがアマゾンに参入して販売を行う動きが活発化していく」ということが挙げられる。米アマゾンでは最近、高級ブランドの「COACH」が販売を開始した。バッグを3Dで360度の角度から確認できる機能など、新しい取り組みが実施されている。

最後、5つ目は、「アマゾンがさまざまな独自システムを一般公開することで新たな成長を遂げていく」ということだ。アマゾンのAWS(Amazonウェブサービス)は、自社で利用していたシステムを一般公開して最大手となるに至ったという経緯がある。最近でも生成系AIのアプリ構築をサポートするサービスの一般公開が発表されている。

自社の優れた技術を外部へ一般公開することにより、顧客の囲い込みや、外販による売り上げ拡大などで成長を遂げていくだろう。





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