2023.09.15

「カラーミーショップ大賞2023」大賞は『かわしま屋』 栄誉つかんだ「愚直なコンテンツ力」とは?

「カラーミーショップ大賞 2023」で大賞を受賞した「かわしま屋」の河島酉里代表


「かわしま屋」河島代表に聞く受賞の理由



「大賞」を受賞した「かわしま屋」を運営するかわしま屋の河島酉里代表に受賞要因や成長への取り組みを聞いた。2023年3月期の売上高は前期比20%成長しており、愚直にコンテンツを積み上げてきた取り組みが、成果につながっているという。




▲かわしま屋 河島酉里代表

――最近注力している取り組みは?

当社はもともと、1人で小売りからスタートしましたが、商品の差別化をするために製造の機能に力を入れてきました。製造拠点を作ったり、製造するための社内の仕組みを作ることに、ここ数年は力を入れており、その取り組みが商品の差別化につながってきたと思います。

――事業運営の体制は?

アルバイトも含めて37人で運営しています。自社で製造や配送もしており、製造や配送などに携わるメンバーが半数くらいを占めています。ブログやSNSを更新するコンテンツチームは兼務も含めて10人くらいいます。

――直近の売り上げ成長は?

2023年3月期は前期比20%くらい伸びています。これまでも毎年10~20%売り上げを伸ばしてきました。他に類のない商品を作り、お客さまに届けていくことで、2024年3月期も同じくらいの成長を実現したいと思ってがんばっています。

――どんな取り組みが成果につながっている?

一つがずば抜けて成果が出たということはないと思います。記事を書いたり、動画を作ったり、SNSを使ったり、LINEを使ったりと、目新しいことではありませんが、一つ一つしっかり時間を取って取り組んでいることが、バランスよく伸びています。サイト内の記事をきっかけにサイトに訪れていただく方が一番多いと思います。


▲YouTubeでさまざまな動画コンテンツを配信

――コンテンツを作る際のこたわりは?

さほどすごいことをやっているわけではないと思います。ただ、昔からブログは続けています。資金がなかったのでコンテンツを作るしかなかったとも言えます(笑)。生産者に会いに行ってお話を聞くと、人生をかけてモノ作りをしているので、一言一言がすごく深かったり、重かったりするので、それをしっかり伝えられるように気を付けています。


▲ECサイト内で記事コンテンツをコツコツと配信している

――どのくらい取扱商品がありますか?

だいたい600~700品目ぐらいあります。流通のしやすさや、ビジネスのしやすさというよりも、食べる人のことを考えて原料や製法にこだわっている製品を取り扱うようにしています。

――売れ筋の商品は?


シーズンによって売れ筋は変わります。商品も何か一つが突出して売れているものはなく、夏はお酢や油、梅干しなどの食品が底堅く売れています。

――顧客から支持されている要因は?

われわれが良いと思うもので、市場に類を見ない商品を提供できたらと思っています。商品のいくつかが評価いただくことがあります。お客さまからのレビューは全部目を通していますが、商品への良い評価が多いと感じています。

――創業のきっかけは?

ITベンチャーを辞めることになり、起業することにしました。ITベンチャーの前にテレビのCMを作る仕事をしていたことがあります。そのときに大手醤油メーカーのCMを作る機会があり、マーケティング調査をすると、大手数社の醬油メーカーが大半のシェアを握っており、全国に数千ある小さな醤油蔵が毎年2桁の勢いで廃業していることが分かりました。老舗の醤油蔵の製品を試すとすごくおいしいものを造っているのですが、だいたい老夫婦2人で切り盛りしていて、「私たちが引退したらこの蔵は閉める」と言っているところがたくさんありました。

売り方をしっかりやれば、もう少しビジネスがうまくいくのではないかという思いがありました。ITベンチャーを辞めるタイミングで、その思いを振り返り、「では、やってみよう」と思いました。資金がない中で、カラーミーショップを契約し、自宅の冷蔵庫を倉庫にして、醤油や味噌など6種類くらいから販売を始めました。


▲創業時の苦労を語る河島代表

――取扱商品を増やすために生産者やメーカーを開拓するために苦労したことは?

生産者さんや農家さんは横のつながりが強い面があり、良い関係性が作れたら、紹介していただけることがあります。自分からアプローチすることもありますが、温かく受け入れていただくこともあれば、冷たくあしらわれることもありました。

――越境ECの取り組みは?

2018年から越境ECに取り組んでいます。英語版のサイトを作り、世界中から注文を受けられる状態にはしています。ただ、まだ試行錯誤中ではあります。

――今後、越境ECは強化する?

一番需要が多いのは米国です。米国市場の醤油やだしなどの売れ筋のラインアップを見ると、韓国メーカーや中国メーカーが造る日本風の商品が多いようです。現地の日本人から、そういった商品の品質はイマイチだと聞きます。当社がやれることはまだまだあると思っています。

――今後の展望は?

素敵な生産者が人生をかけて作っていただいた食材や原料を扱わさせていただいています。ただ、「かわしま屋」は日本人の99.9%くらいの方が知らないと思いますので、まだまだ商品を届けられる伸びしろや役目はあると思っています。

今のところモールなどに販路を広げる考えはなく、自社ECサイトでまだできることがあると考えています。ポップアップなどリアル展開も将来的にはやりたい思いはありますが、そこに関しては全くの素人なので、できることから少しずつ取り組みたいと思います。

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