2023.09.11

万年筆の石丸文行堂、EC売上は3年で11倍 長崎からSNSで魅力発信

営業企画室 広報・チーフクリエイター 宮崎有沙氏

万年筆、インク、長崎の名産品などを販売する石丸文行堂は、コロナ禍をきっかけにEC運営を強化した。2022年のEC売上高は2019年と比較して約11倍に拡大している。広告や安売りに頼るのではなく、実店舗との相乗効果や、SNSでのコミュニケーションの強化が奏功している。

同社は今年で創業140年になる老舗企業。長崎を中心として5店舗を展開している。実店舗での販売がメインだったが、コロナ禍をきっかけにEC運営を強化した。

「店舗があるからこそできるEC運営に注力している。インクの繊細な色を出せるよう、店舗で商品写真を撮ることもある。SNSの時代でも手書きの温かさを知ってもらいたい」(営業企画室 広報 チーフクリエイター 宮崎有沙氏)と話す。


▲長崎の景色をイメージしたインクシリーズ「長崎美景」

手書きならではの表現や長崎の文化の魅力を伝え、県外の新規客や「何十回と利用する」根強いリピーターの獲得に成功した。


▲カクテルから着想を得た「カラーバーインク」

ECサイトでは、「長崎くんち手ぬぐいが2時間前に購入されました」というような「現在の店舗の状況」をポップアップで表示している。
 
「ECは1人でじっくり選べる良さがあるが、店舗のような賑わいは感じられない。楽しんで買い物してもらえるよう、カラーミーショップのオプションを付けた」(同)と話す。

コロナ禍に店舗を休業したことをきっかけに、宮崎氏がインスタグラムでライブ配信を実施するようになった。現在も毎週開催している。商品紹介だけではなく、イラストの書き方を紹介するなど、視聴者も一緒に楽しめるコンテンツ作りを心がけている。

「コミュニケーションの機会を大切にしている。SNS上で手書きについて気軽に語り、楽しみながら信頼関係を築けていると思う」(同)と話す。



▲まだ知られていない長崎の名産品も扱う

今後はコミュニティーとしての機能も持てるECサイトを目指し、デザインのリニューアルを検討している。

「手書きが好きという共通点を持った、新しい友だちと出会える場所にしたい。ECサイトとSNSのコネクションを強化しようと思っている。これからも商品を買える以上の価値を提供し、手書きの良さを、ここ長崎から発信していく」(同)と意気込んだ。







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