2023.08.28

通販事業者の3割がAIを導入(予定含む) 情報源は通販・EC専門メディアで「日本ネット経済新聞」がトップ

ECサイト構築・通販システム構築・支援を主要事業とするエルテックスはこのほど、EC・通信販売事業関与者の実態調査「通販事業者のAI導入事情」、「通販事業者の利用する情報源」などを集計・分析した調査結果の2023年版を発表した。通販事業者の3割がAIを導入済み、または導入を予定していることなどがわかった。

エルテックスでは、2000年頃よりECサイト・通販システムの開発、および構築を積極的に推進しており、関連する市場動向把握のため、今回で21回目となる独自調査「通信販売事業関与者の実態調査 2023」(調査期間:2023年6月30日~7月4日)を実施した。

通販事業全般(EC:エレクトロニック・コマースを含む)における「チャットGPTを代表とするAI」についてたずねた問いでは、なんらかのAIを導入しているのは全体の8.7%だった。AI導入が決まっている(24%)の回答を加えると32.7%となり、3割を超えるの事業者でAI活用が具体的になっていることがわかった。一方、「導入予定がない」「あてはまるものはない」といった回答の合計は9%に留まった。もっとも回答が多かったのは、「AI導入を検討・情報収集中」の37.0%だった。

【通販事業全般であなたご自身やあなたの会社で「チャットGPTを代表とするAI」について、最も当てはまるものは?(単一回答)】


年商別では、100億円以上の事業者で「導入済み」が2.4%、「導入が決まっている」が21.4%で合算すると23.8%となり、1~10億円規模の事業者の36.9%、10~100億未満規模の事業者の33.3%に比べて数値が低く、導入に慎重な様子がうかがえる。

「チャットGPTを代表とするAI」に関して、導入の有無に関わらず、通販やEC ビジネスで効果が見込めそうなもの、興味のあるものをたずねた問いでは、「サイト内検索」(54.2%)、「チャットボットや接客ツール」(52.7%)、「マーケティング分析」(48%)がトップ3となった。エルテックスは、この結果は驚く内容ではなく、ある意味予定調和の結果であるとの見解を示した。

【「チャットGPTを代表とするAI」に関して導入の有無にかかわらず、通販やEC ビジネスで効果が見込めそうなもの興味のあるものは?(複数回答)】


年商別では、100億円以上の事業者で「レコメンドエンジン」「商品説明文やFAQなどテキスト情報の自動生成」の2つの利用方法が全体の平均値に比べて10ポイント以上利用意向が高いという特徴が見られた。

「商品画像・動画の自動生成や合成」(28.6%)、「メルマガの自動生成」(11.7%)といった項目は予想に反して若干スコアが低く、フェイク画像や動画などのネガティブなイメージがあることで選択をためらったことなどが推測されるとしている。

よく利用している通販・ECの仕事上での情報源をたずねた問い(複数回答)では、「展示会」「新聞」のスコアが高い結果となった。様々なメディアの中でトップはマーケティング専門紙「日経MJ」(29.3%)、次点は展示会「イーコマースフェア」(27.7%)だった。

【あなたがよく利用している通販/EC の仕事上での情報源をお選びください(複数回答)】


通販・ECの専門メディアでは、「日本ネット経済新聞」(24.7%)がトップとなった。「サイト(インターネット)」はメディアが多い分スコアが分散化し、押しなべて数値が上がらなかったが、ウェブ専門メディアでは「EC のミカタ」「通販通信 ECMO」が 20.7%でトップを分け合った。

通販・EC 事業者は、販売している商品ジャンルや価格帯、リアルメディア中心、EC中心など千差万別なため、情報源とする対象もその事業者ニーズにより異なる。そのため展示会や幅広いネタを集めている新聞は比較的スコアを集め、編集内容に特徴のあるサイトは数値が分散化しているものと思われるとし、自社ビジネスに有用な情報が多いメディアを見極めることが課題と言えるとの考えを示した。

エルテックスは、調査により自社の中核顧客である通販企業の実態を把握したうえで、通販ビジネスの強化、通販サービス質の向上に向け、製品やソリューションサービス改善につなげていきたいとの考えを示した。




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