2023.08.25

クレーム上位に「EC・小売」「美容」「宿泊」 2023年上半期のネット上で悪評・クレームが多い業種を発表

AI与信管理サービスを提供するアラームボックスはこのほど、2023年上半期にSNS等インターネット上で投稿された各企業に関連する口コミや評判の中から、悪評・クレームを抽出し、「2023年上半期 インターネット上で悪評・クレームが多い上位15業種」を集計し、結果を公開した。悪評・クレームが「EC・小売」「美容」「宿泊」に関連する業界について集中していることがわかった。悪評・クレームに使われがちな頻出単語も合わせて公開しており、再頻出単語は「商品」で、その他「購入」「残念」「対応」などが続いた。

アラームボックスは、スマートフォンやPCから取引先を登録しておくだけで、取引先のリスクや状況変化を自動で知らせてくれるAI与信管理クラウドサービス「アラームボックス」を提供している。

スマートフォンやSNSの普及に伴い、誰でも手軽に情報の発信や収集が行える時代となった。消費者庁が発表した「消費者意識基本調査」によると、SNSを情報収集目的で活用している人が84.1%ともっとも多いことから、さまざまな情報収集手段がある中で、多くの人がSNSから情報を得ていることがわかる。

このことから、企業はSNSやインターネット上にある悪評やクレームなどの書き込みが事業に悪影響を与えないよう、適切なレピュテーションマネジメントを行い、社会からの評判を維持・向上させる必要があるといえる。

こうした状況を受け、アラームボックスは、AI与信管理サービス「アラームボックス」の提供を通して得た膨大なネット上の口コミから、インターネット上で悪評・クレームが多い業種やその口コミの傾向を定点調査を行っている。

このほど、1万410社を対象に、2023年上半期にSNS等インターネット上で投稿された各企業に関連する口コミや評判の中から悪評・クレームを抽出し「2023年上半期 インターネット上で悪評・クレームが多い上位15業種」を集計し、その結果を公開した。調査期間は、2023年1月1日~2023年6月30日。

社会情勢と悪評・クレームの関係性の考察や、クレームに頻出する単語を発表することで、企業がレピュテーションマネジメントに取り組むきっかけとなること、企業活動や与信管理における定性情報の重要性と活用法を啓発していくことを目的として、調査の実施と発表に至ったとしている。

調査の結果、悪評・クレームの業種別ランキングのトップ5は、「無店舗小売業(通販事業)」「その他の小売業業(家具、化粧品、中古品小売業など)」「各種商品小売業(百貨店、総合スーパー)」「洗濯・理容・美容・浴場業」「医療業」だった。

悪評・クレームが、「EC・小売」「美容」「宿泊」に関連する業界について集中していることがわかった。調査結果詳細では、今回の調査でランクインした上位15業種を業界ごとに分類し、クレームの内容を分析・考察した。

EC・小売業界からは、1位に「無店舗小売業(通販事業)」、2位に「その他の小売業(家具、化粧品、中古品小売業など)」、3位に「各種商品小売業(百貨店、総合スーパー)」、6位に「織物・衣服・身の回り品小売業(アパレル、寝具販売)」、7位に「各種商品卸売業(多品目の商品を卸す商社)」、8位に「機械器具小売業(自動車、自転車、家電販売)」、12位に「飲食料品小売業(食品スーパー、コンビニ、健康食品販売など)」がランクインした。

通販事業を主力する「無店舗小売業」は、過去の調査に引き続き1位という結果となった。また、昨今は小売や卸売を行う多くの企業が通販事業を展開していることから、様々なジャンルの小売業が上位にランクインした。

クレームの内容としては、購入した商品に関する不満、配送や梱包に関する不満が多く発生していた。これらの不満から問い合わせをしたところ、十分な対応を受けられなかったとして、新たなクレームに繋がっているものが多数見受けられたとしている。



企業は通販事業を展開することで、場所や時間を問わず販売活動を行える利点はあるが、その分クレームの件数が増えることを念頭に置き、レピュテーションマネジメントを行う必要があるとしている。

美容に関連する業界からは、4位に「洗濯・理容・美容・浴場業(美容院、エステなど)」、5位に「医療業(病院、美容クリニック、医療脱毛など)」、9位に「化学工業(化粧品メーカー、理容用品メーカー、製薬会社など)」がランクイン。美容院やエステ、化粧品メーカーなど、美容に関する事業を展開する企業にクレームが発生していた。なお、「医療業」は、美容外科や医療脱毛など自由診療の美容クリニックに多くの悪評・クレームが集中していた為、今回は美容に関連する業界として扱っている。

悪評・クレームの内容は、美容院や美容クリニックの施術後の仕上がりに関するもの、脱毛エステやクリニックの予約の取りにくさに関するもの、化粧品や健康食品の効果に関するものが多く投稿されていた。3つの業種に共通するクレームとして、契約の説明不足に関するものがあり、「契約前に聞いていた内容と違うサービスを受けさせられた」「強引に勧誘され契約するまで帰してもらえなかった」「普通に購入したはずが、いつの間にか定期購入の契約になっていた」など、顧客が企業に対して不信感を持ちクレームを書き込んでいる様子が見られた。



コロナ禍が収束する中で、需要が回復傾向にある宿泊業にも悪評・クレームが発生し、10位に「宿泊業(ホテル、旅館)」がランクインした。部屋の状態に関するクレームがもっとも多く、臭いや清掃面、予約サイトに掲載された写真とのギャップに不満が発生していた。老朽化した施設に対する不満やトイレや風呂の故障や不衛生さを指摘するものも多く、フロントでの待ち時間の長さや配膳の遅さなど、接客に関する不満も発生していた。



これらの悪評・クレームから、コロナ禍で資金余力がなくなった宿泊施設が設備投資に資金を回すことができない状況や、人手不足の深刻化による清掃や接客業務の対応不足が予想されるとしている。

11位にランクインした「通信業(携帯キャリア、ネット回線サービス、プロバイダ代理販売店など)」では、一部の事業者に集中する形でクレームが発生しており、「回線が人混みに入るだけで繋がりにくくなる」「平日の日中でも通信速度が遅く、土日はほぼ使えない」といった不満が多く書き込まれていた。

カスタマーサポートに関するクレームも多く、契約内容や回線工事の手配に不満があり、カスタマーサポートに問い合わせた際に満足のいく対応を得られなかったことで、2次クレームに繋がっている例が多く見られた。

13位にランクインした「娯楽業(興行場、興行団、フィットネスクラブ、パチンコホールなど)」では、特にパチンコホールとフィットネス関連施設に悪評・クレームが多く確認された。サービスの質に関する投稿や、店員に対するクレームのほか、他の利用客に対する不満が多く見られた。

なお、本業種に対しての口コミは、パチンコホールやジム、映画館、劇場など施設提供型のサービスが多いためか地図アプリ上に集中していた。

14位にランクインした「飲食店(レストラン、居酒屋、専門料理店、カフェなど)」では、店員に対しての悪評・クレームが多く発生していた。接客態度が悪いといったシンプルなものが多い一方で、「明らかに人手が足りておらず、忙しさで店員がイライラしているのが伝わる」「オーダーが通っておらず店員を呼んでも来ない」といった人手不足が原因となる口コミも散見された。

コロナ禍になり、売上が低下した飲食店の多くがゼロゼロ融資の返済が本格化し、資金難に陥った結果人手不足が発生。それらがオペレーションの不備や接客業務の対応不足につながっていることが予想されるとしている。

15位にランクインした「鉄道業(鉄道会社)」では、列車遅延の多さや、駅員と乗務員の態度に関してクレームが発生していた。昨今の運賃の値上げについて苦言を呈しているものも見られた。

さらにこれらの業界について、頻出単語を抽出し、ワードクラウドとして可視化した。「EC・小売業界」での最頻出単語は「商品」で1200回以上使われていた。その他は「購入」「残念」「対応」「発送」といった単語が続き、商品に関するクレーム以外ではショップの対応や配送関連のトラブルについての言及が頻出した。

美容に関連する業界での最頻出単語は「施術」で、次点が「予約」となった。エステや美容院、クリニックの施術に関する口コミや、予約の取れにくさに対する口コミが多く発生している。

宿泊業に関する最頻出単語は「部屋」で、宿泊業のクレームの約半数が部屋について言及していた。その他、「残念」「ホテル」「風呂」「朝食」「食事」といった単語が頻出しており、口コミ上では、部屋や風呂、食事についてのクレームが多く発生している。




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