2023.08.07

大正製薬、三浦知良選手の競合製品CM出演に対してハットトリックを提訴 サントリーウェルネスに苦言

大正製薬は8月4日、自社のリポビタンD製品において、長年広告宣伝に起用してきたプロサッカー選手の三浦知良選手が、サントリーウエルネス社の錠剤タイプの健康食品の広告宣伝に出演することについて、三浦選手の広告出演を管理するハットトリックを提訴したことを含めた経緯を公開した。自社が長年起用している三浦選手を競合製品に起用するサントリーウエルネスの行為について、スポーツ選手や芸能人の広告起用にかかる業界の慣習を揺るがす事態だとして、互いの配慮こそが業界の発展に寄与するとの考えを示した。

大正製薬では、栄養ドリンクののリポビタンD製品の広告宣伝において、長年にわたりプロサッカー選手の三浦知良選手を起用してきた。この起用は、大正製薬が広告代理店と契約し、当該広告代理店が三浦選手の広告出演管理を行うハットトリックと契約するという形を取っていた。

このほど、リポビタンDの錠剤タイプの商品「リポビタンDX」の販売にあたり、同製品の広告に三浦選手を起用しようとしたところ、「錠剤」については契約書に規定がなく広告対象に含まれていないとして、ハットトリックがこれを拒否。同時にハットトリックは、サントリーウエルネス社の錠剤タイプの健康食品の広告宣伝への三浦選手の出演を決定した。

大正製薬は、リポビタンシリーズの一環として「錠剤」についても当然に契約上の広告対象となっており、同契約における競合禁止規定により三浦選手が他社の競合製品の広告に出演することは禁止されているとして、ハットトリックに対して訴訟を提起。しかし、契約書に「錠剤」の文言がないとの理由で、裁判所において訴えは認められなかった。

大正製薬はこのほど、一連の経緯を公表するとともに、スポーツ選手や芸能人を商品の広告宣伝に起用するのは、当該スポーツ選手や芸能人のイメージが広告対象商品の宣伝に資するとの判断からくるところであり、自社においても疲労回復・栄養補給というリポビタンシリーズの特徴に三浦選手のイメージが合致するとの判断のもと、長年にわたり三浦選手を起用し、同選手とともに広告対象商品のイメージを作り上げてきたとし、裁判所の判断は業界の健全な社会常識に明らかに反するものだとの考えを示した。

さらに、自社を含め、企業がスポーツ選手や芸能人を商品の広告に起用するにあたっては高額な契約金を支払っており、これは業界の慣習として、出演者が競合禁止規定に基づき、競合する他社製品の広告に出演しないことを当然の前提に、出演者とともに安定的かつ長期的に製品イメージを築き上げることを念頭に支払っているものであると主張。

他社の競合製品の広告への出演が許されるのであれば、長い時間をかけ、莫大な金額を費やして築き上げたイメージを競合他社に瞬時に奪われる恐れがあることから、これまでのように高額な出演料を支払うことは困難になるとし、本件がスポーツ選手や芸能人の広告起用にかかる業界の慣習を揺るがす事態といえるとの考えを示した。

さらに、大正製薬が長年にわたり起用中の三浦選手を競合製品の広告宣伝に起用するサントリーウエルネスの行為自体にも問題があるとし、業界において、このような事態が今後起こらないよう本件の公表に至ったとしている。

競合する企業間で同一のスポーツ選手や芸能人を広告宣伝に起用する際には、出演者、広告代理店、および広告主が互いに配慮することこそが、業界の発展に寄与し、持続可能とするものであり、企業価値の向上に資するものであるとの考えを示した。





null

RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事