2023.07.28

【「機能性表示食品」少なくとも7成分に疑義か】消費者庁「機能性の確認は調査事業の一環」


消費者庁はこのほど、複数の機能性表示食品について、届け出資料を確認するよう個別の事業者に連絡している件について、「食品表示に関する調査事業の一環である」という見解を示した。消費者庁では、さくらフォレストへの措置命令に伴って「DHA・EPA」など3種類の機能性関与成分を含む機能性表示食品に対して、届け出資料の確認を求める動きをしていることとは、「別の動き」(食品表示企画課)だとしている。本紙の取材では、さくらフォレストへの措置命令以降、少なくとも7成分について、消費者庁が届け出事業者に対して、根拠となる資料の確認を求める動きをしていることが分かった。機能性表示食品に詳しい専門家からは、「さくらフォレストの一件があったことをきっかけに、以前から行っている調査事業をさらに強化している可能性がある」といった声も聞かれている。



100品目以上の製品に含まれる成分も


さくらフォレストへの措置命令があった6月30日以降、少なくとも7種類の機能性関与成分を含む機能性表示食品の届け出を行う事業者に対して、消費者庁が、届け出資料の内容の確認を求める連絡をしていることが、事業者や原料メーカーへの本紙取材で分かった。

7種類の中には、100品目以上の機能性表示食品に含まれている成分もある。

特定の原料メーカーの素材を含む機能性表示食品の届け出を行っている事業者に対して、消費者庁から連絡が来ているという情報もある。一方で、同一の成分を配合し、同一の機能性を表示していても、消費者庁から連絡が来るケースと来ないケースがあるという情報もある。

消費者庁からの連絡が要求する内容は、成分ごとに異なるようだ。成分に関するSR(システマティックレビュー)で、機能性を評価している研究の分析方法について「第三者機関に正式に見解を図った方がいい」と指摘する内容の連絡もあるようだ。

「純度や入手先の情報を記載したものを追加で提出すること」「成分の由来となっている素材の近縁種の抽出物との違いを示すこと」─を求められているケースもあるという。SRの解釈について、「配合量の設定は適切か」などと確認を求める連絡もあるとしている。


確認要請は続くか


消費者庁は6月30日、機能性表示食品「きなり」を販売していたさくらフォレストに対する措置命令の中で「『きなり』と同種の届け出を行う機能性表示食品について、届出を行う事業者に対して、確認を行う」と発表していた。

「きなり」に配合されていたのは、「DHA・EPA」「モノグルコシルヘスペリジン」「オリーブ由来ヒドロキシチロソール」の3成分。同種の機能性表示食品は88製品あるとしていた。

消費者庁は、「きなり」に配合されている成分以外の機能性関与成分について、確認の連絡を行っている件について、「例年行っている、栄養成分の機能表示に関する調査・検討事業の一環で行っている。さくらフォレストへの措置命令に伴って行っている、”確認”の要請とは異なる」(食品表示企画課)と話している。

機能性表示食品制度に詳しい、ある専門家は、「調査事業の一環だとしても、少なくとも、さくらフォレストの一件があって一斉に動いていることは間違いない」と話している。

ある健康食品・化粧品EC企業では、「もともと、届け出の根拠が弱い機能性表示食品はたくさんあったが、同じSRで届け出が受理された前例がある機能性表示食品は、受理せざるを得ない流れがあったのではないか。さくらフォレストがスケープゴートとなり、根拠が弱ければ、見直しを求めることができるようになった」(取締役)と話す。「今後もしばらくは、根拠が薄弱な機能性表示食品について、見直しが求められる動きが進むのではないか」(同)と話している。






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