2023.04.29

キリンHD、豪州の健康食品企業「ブラックモアズ」を買収 ヘルスサイエンス事業の拡大図る

ブラックモアズのHP

キリンホールディングスは4月27日、サプリメントなどの健康食品(ナチュラル・ヘルス)事業を展開する豪州企業Blackmores Limited(ブラックモアズ)と、子会社化に向けた契約を締結した。本株式取得により、ヘルスサイエンス事業の商品ラインアップやケイパビリティが充実し、展開地域、成長機会、事業規模の拡大を図る。

キリンホールディングスは、アジア・パシフィックにおいてサプリメントなどの健康食品事業を展開するブラックモアズの発行済株式を100%取得し、子会社化するとし、その手続きを開始した。

豪州上場会社の株式を100%取得する方法の1つである豪州会社法に基づくScheme Arrangementの手続きにより、ブラックモアズの全株主の保有する株式を現金にて取得する予定とし、4月26日に、キリンホールディングス、およびブラックモアズの取締役会における決議を経て、本株式取得に関する合意内容を定める契約を締結した。

ブラックモアズは主に、「Blackmores」(サプリメント・粉ミルク)、「BioCeuticals」(医療機関向けサプリメント)、「PAW by Blackmores」(ペット向けサプリメント)ブランドをアジア・パシフィックにて展開。1976年より東南アジアへ進出し、マレーシア・タイ・インドネシア・ベトナム・シンガポールにおいて、高いプレゼンスと消費者からの信頼を獲得している。

2013年には中国市場にも進出し、外資系のサプリメント・栄養補助食品企業としての強固な地位を確立。また、近年ではインドなどの新たな市場への展開にも積極的に取り組んでいる。こうした長い歴史と品質への高い意識が評価され、豪州において14年連続でビタミン・サプリメントの「Most trusted brand」を受賞している。

一方、キリングループは、長期経営構想「キリングループビジョン 2027(KV2027)」において、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」ことを目指している。「酒類メーカーとしての責任」を前提に、「健康」「コミュニティ」「環境」の社会問題解決に事業を通じて貢献することで、社会とともに持続B的な成長を遂げていくとしている。

とりわけ「健康」においては、「健康な人を増やし、疾病に至る人を減らし、治療に関わる人に貢献する」ことを目指しており、クオリティ・オブ・ライフの向上や未病領域における新価値創造によって、社会課題の解決や自社の将来における成長機会をけん引できると考えている。

そのため「キリングループビジョン 2027」においては、これまでキリングループが培ってきた組織能力や資産を活かし、「食領域」と「医領域」に並ぶ「ヘルスサイエンス事業」を立ち上げ、次世代の成長の柱として育成している。これまで自社の発酵・バイオテクノロジーを強みとして最大限に活用し、国内外で事業を拡大してきた。

「健康」に関する社会課題解決を通じて、グローバルでの成長を目指すキリンの考え方と、自然科学や自然療法の知識を活用してアジア・パシフィックの人々の健康課題の解決を目指すブラックモアズの考え方は共通しており、目指す理念は一致しているとし、今回のブラックモアズの株式取得は、「ヘルスサイエンス事業」を強力に補完するものであり、「キリングループビジョン 2027」とも合致するとの考えを示した。

キリンホールディングスは、本株式取得によりヘルスサイエンス事業の商品ラインアップやケイパビリティが充実し、展開地域、成長機会、事業規模が拡大するとしている。キリンの素材等のブラックモアズの販売網を活かしたアジア・パシフィックの顧客へのアクセスや、ブラックモアズが把握している消費者ニーズ、国ごとに異なる規制への深い理解などを活用し、課題解決提案力をさらに高めたBtoBおよびBtoC事業により、ヘルスサイエンス事業の継続的な成長の実現を目指すとしている。

両社の展開する事業領域で幅広くシナジーを創出し、より多くの健康に関する社会課題を解決していく考えを示した。




RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事