2022.03.22

大流行のスタッフコンテンツに変化の兆し?!【ビジュアルコマースの時代<第3回>】



評価狙うスタッフ管理に課題


「スタッフコンテンツ」が流行する中で、導入企業に新たな課題も出てきているようだ。店舗スタッフにコンテンツ投稿を促進するため、多くの企業が店舗スタッフの投稿コンテンツ経由の売り上げに応じたインセンティブを支払ったり、評価基準に投稿コンテンツのECサイトへの貢献度を盛り込んだりしている。

評価制度を導入したことで、店舗スタッフの”ただ働き”を懸念する実店舗側が協力的になったという企業もある。さらに、収入や評価を上げたい店舗スタッフが重い腰を上げ、「スタッフコンテンツ」の投稿を始めるという効果も出ているようだ。

その一方で、一部の企業では、店舗スタッフが評価を得ようとするばかりに、「スタッフコンテンツ」の仕組みを逆手に取るケースがあるという。例えば、売れ筋のアイテムにばかり店舗スタッフの投稿が集中したり、投稿頻度を上げるために質よりも量を重視したコンテンツを投稿したりするケースもあるようだ。

「ある企業は一部のアイテムに『スタッフコンテンツ』の投稿が集中したために、商品詳細ページの多くの部分が『スタッフコンテンツ』に埋め尽くされるという事態が発生しています。『スタッフコンテンツ』が増えることは良いことですが、企業やブランド側が意図する方向とズレていってしまうケースもあり、各社の次なる動きを見ていると2022年はECサイトの商品詳細ページのUIに変革が起こり始めると考えています」(visumo 井上純取締役)と話す。

スタッフ評価に生かせる点が「スタッフコンテンツ」の魅力の一つだったが、評価制度を始めたことで見えてきた課題もあるようだ。


▲スタッフの評価方法などに課題があるようだ(写真はイメージ)


意義の浸透、顧客目線の仕組み作りが重要


「一度決めた評価基準を変えるのも大変です。『スタッフコンテンツ』で報酬を得ていたスタッフが、評価基準や仕組みを変えたことで報酬が減ると、減給されたと感じることもあるからです」(同)と話す。

導入企業はスタッフに取り組みの意義や狙いを伝え、目先の評価を追うのではなく、あくまで顧客目線での施策の有効性を追求する姿勢を社内に浸透させる必要があるだろう。

「『visumo』の導入企業の中には、本社近くの実店舗にいるスタッフとスモールスタートで『スタッフコンテンツ』活用を始め、その取り組みを検証しながら、慎重に全国へ広げている企業もあります。投稿するアカウントをスタッフ単位ではなく、店舗単位で運用することで、スタッフの”個人”ではなく、店舗という”チーム”に脚光が当たる仕組みにしている企業もあります。『visumo』は柔軟に運用できる仕組みになっているので、スタッフごとの貢献度を可視化することもできますし、スタッフ評価を核としない『スタッフコンテンツ』活用を進めることもできます」(同)と話す。


次のフェーズで問われる”企業のスタンス”


ファッションECモール「ZOZOTOWN」を運営するZOZOもモール内に「スタッフコンテンツ」を投稿できるツールの提供を始めている。「スタッフコンテンツ」は今後、より幅広い業界、より多くの企業に広がりそうだ。

これまでECサイトで生かすことができていなかった販売スタッフの知見やノウハウを、「スタッフコンテンツ」により生かすことができるようになった。この流れはユーザーも歓迎しているだろう。

ただ、その仕組みを攻略し、自分の評価ばかりに目を向ける店舗スタッフの動きは、企業にもユーザーにも不利益を与える。店舗スタッフが気持ちよく、前向きに「スタッフコンテンツ」を発信できる環境作りの責任は企業側にある。「スタッフコンテンツ」の次のフェーズでは、「仕組みをどう生かすのか」という企業側のスタンスが問われていくだろう。



【到来!ビジュアルコマースの時代】
第2回「ここまで来た!ECのビジュアル活用」
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第4回「肝心の商品説明に落とし穴?!商品詳細でデジタル接客実現へ」
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<取材協力>

「visumo」
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