2022.02.10

【「クレベリン」の措置命令】大幸薬品、合理的根拠を主張 消費者庁は「実空間試験」求める

「置き型」は地裁が差し止めを認容

「クレベリン」シリーズの「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」といった広告表示が景品表示法の優良誤認にあたるとして措置命令を受けた大幸薬品は現在、消費者庁と係争中にある。争点は「合理的根拠」を示す試験方法だ。実空間の試験にこだわる消費者庁に対し、大幸薬品は産業界で認められた閉鎖空間での試験が合理的根拠になると主張している。


争点は「試験方法」


大幸薬品が東京地裁に差し止め申立てを行ったときの争点は、消費者庁の言う「合理的な根拠」の判断基準のうち、「試験・調査の方法」だった。

「試験・調査の方法」は、「関連する学術界または産業界において一般的に認められた方法または関連分野の専門家多数が認める方法により実施する必要がある。こうした方法が存在しない場合は、社会通念上および経験則上妥当と認められる方法で実施する必要がある」と定められている。

大幸薬品が規格に準じて行ってきた第三者機関による試験(閉鎖空間)は、「学術界・産業界で一般的に認められた方法」であるとして、東京地裁は「クレベリン置き型」の差し止め申立てを認めた。また、全ての生活環境を再現した実空間試験は不可能であるとした。

この上で、大幸薬品の資料は、「クレベリン置き型」が実際の生活空間において、浮遊するウイルスなどを除去する効果を有する合理的根拠を示すと見なした。


2月に高裁が判断か


消費者庁は措置命令を行った今年1月20日の会見で、密閉空間での試験は、実生活空間における浮遊ウイルス除去の根拠データではない▽評価方法が確立されていないものは合理的根拠と認められない─と主張した。
 
規格に即した閉鎖空間での試験は合理的根拠となると地裁が認めたことを踏まえ、大幸薬品は「消費者庁は抽象的に実空間での試験を求めるのみ。具体的な試験方法の提示はない」(人事総務部部長の森田慈心弁護士)と批判する。
 
現在、4商品に対して消費者庁も即時抗告を行っている。大幸薬品の森田氏は「東京高裁が申立てを却下するか、認容するか、2月中には何らかの結論が出るのではないか」(同)とみている。



【大幸薬品と消費者庁のこれまでの動き】


2021年4月:大幸薬品は約半年にわたって消費者庁から広告表示の調査を受ける。

2021年10月:消費者庁は、表示の根拠のとなる資料の提出を求める。4商品のほか、大幸薬品の主力商品「クレベリン 置き型」内容量60グラム入りと150グラム入りについても、違反のおそれがあるとして資料提出を要求。

2021年11月:消費者庁は、大幸薬品に弁明の機会を付与。

2021年12月:大幸薬品は12月10日に弁明書を提出。同14日、大幸薬品は6商品について措置命令の差止訴訟を提起し、合わせて仮の差し止めの申し立てを行う。

2022年1月:東京地裁が、「クレベリン置き型」60グラム入りおよび150グラム入りについて、仮の差し止めを認容。

2022年1月:大幸薬品は1月13日、残る4商品についても東京高等裁判所に即時抗告を申し立てる。消費者庁は1月20日に4商品に措置命令を出した。大幸薬品は措置命令を不服として、取消訴訟や審査請求に乗り出す方針を発表。





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