東南アジア・台湾を中心にECモールを展開するShopee(ショッピー)は近年、日本企業向けの越境EC支援を強化している。2020年7月の日本法人設立後は、サポート体制の整備や独自物流サービスの導入など、事業者の円滑な越境EC実施に向け支援領域を拡大。中南米・欧州といった新たな地域への越境EC対応も視野に入れる。日本越境ECチーム代表のユナ・クォン氏に、近年の実績や今年の注力点などについて聞いた。
申込は4倍ペース
――近年の越境EC支援の取り組みは?
2021年は、日本法人が行ってきた越境EC支援の取り組みが大きく進んだ1年となった。当社を通じて越境ECを行う新規セラー(事業者)の申込数も、直近では昨年の同時期と比較して約4倍と大きく向上している。
具体的には、主に3つの観点から事業の強化を進めている。一つ目がセラー向けのサポート体制の拡充、二つ目が物流の整備、そして最後にマーケティングの強化だ。
サポート体制の強化は、規模が拡大するセラーの一人一人に高品質な支援を提供するために欠かせない。メンバーの増員やホームページの改善など、より強固なチーム作りを進めている。
物流面では、「Shopee ロジスティクス サービス(SLS)」という独自のワンストップ物流サービスを開始したのが大きな成果だ。「SLS」の導入により、リードタイムや配送コストの削減など配送の改善が可能となった。
現在はシンガポール市場向けに対応しており、他の東南アジア諸国へも対応範囲を拡大していく計画だ。
マーケティングの面では、出店後の販売支援を近年強化している。現地のモールに実際に商品を出品した後、より多くのユーザーに届けられるよう販売手法の最適化をセラー各社とともに進めている。
――プラットフォームとしての「Shopee」の動向は?
すでに大きなシェアを持つ東南アジアや台湾に加え、他の地域でも「Shopee」のサービス範囲を順調に拡大している。
2021年は、欧州に商圏を拡大できたのがトピックだった。2022年は欧州での市場開拓を本格化させていく1年にもなっていくだろう。
当然、日本から欧州各国へ越境販売ができるような環境を作っていくことも今後検討すべき事柄だ。
同様に中南米でのビジネスも軌道に乗ってきている。その中でもブラジルは、市場規模の大きさや日系人のコミュニティーが根付いていることもあり、日本の商品が受け入れられる大きな可能性を持っている。
物流面の課題などを解決し、いち早くこういったエリアにも越境ECのネットワークを整備することがわれわれにとっても重要な目標だ。