2022.01.26

【ECモールに聞く2022年の展望】「eBay」岡田雅之社長「独自決済導入で高額商品販売が拡大」

イーベイ・ジャパン 岡田雅之社長


コロナ禍で世界的にEC市場が拡大し、インバウンドも抑制されていることから越境EC市場が急成長している。グローバルなマーケットプレイス「eBay」を通して、国内事業者の越境ECを支援するイーベイ・ジャパンも好調だ。日本の出品者(セラー)の取扱高の伸びは、グローバルで見ても高いという。「eBay」を通した越境ECの状況や販売支援の取り組みについて、イーベイ・ジャパンの岡田雅之社長に聞いた。


――2021年の「eBay」を介した越境ECの市場動向は?

2021年はクーリエ(国際宅配便)シフトがより加速した。リードタイム(配送期間)が短くなったことで、まだクリスマス商戦が続いている(取材時の21年12月21日時点)。サプライチェーンの問題もあり、10月末ごろから早めに商品を押さえようという動きがあり、それが今まで続いている。ホリデーシーズンが長くなった印象だ。これまで見たことがない数字のトレンドになっている。

他にも2021年には、独自ペイメントへの移行があり、100万円以上の高単価商品を販売できるようになった。上限がなくなったことでハンドバッグや時計など高額商品の売買が活性化するというのは想定していたが、ポケモンカードなどわれわれがエンスージアスト(熱狂的な人)と呼んでいるコレクター向けの高額商品がここまで売れるとは想定できなかった。カーパーツや楽器など100万円以上の商品が次々と売れている。

エンスージアストとは異なるかもしれないが、寿司マシーンや電子計測機器などの業務用の高額な機械も売れた。「eBay」は多様なニーズの集合体だと改めて確認できた。

――出品拡大のために取り組んでいることは?

セラーさんには、「とにかく出品してみませんか」とお声掛けしている。出品して初めて顕在化するデマンド(要望)がある。われわれも「この領域は伸びている」と言えても、「ここは伸びない」とは言えない状況だ。

個人のセラーさんが自分の好きな分野・興味がある商品を積極的に出品し、結果的によく売れている事例がある。全世界を販売対象とするワールドワイドなマーケットプレイスに出品することで、まさかこんなもの売れるのかという驚きがある。そんな魅力を伝えられるように情報発信に注力している。

人工知能による画像認識技術を使い、手軽に出品できるようになるなど、アプリからの出品のしやすさをどんどん追及している。技術革新によるイーベイの再発明(テックレットリーイマジネーション)と言っているが、技術を向上して越境ECをもっと簡単にしていこうという方針だ。

ターゲットを絞って出品手数料をディスカウントする施策も進めている。これまで「eBay」を利用してこなかったが、越境ECと親和性の高いセラーの開拓に注力している。英語が得意な方や主婦、シニアなどポテンシャルのあるセラー人材はたくさんいると見ている。

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