2022.01.25

【記者座談会 2022年EC業界予測<7>メタバース編】メタバースコマース活発化の兆し


広告市場の拡大に寄与


大多:市場の盛り上がりという意味では、やはり米フェイスブック社の「メタ」への社名変更の影響が大きい。これからメタバースを推進していく、メタ事業を推進していく、そういったメッセージを受け企業のアンテナも一斉に感度が高まった。

なので、バブルとは言わないが2022年にこの名前を聞くことが格段に多くなると思う。具体的には、実際にメタバース空間上に仮想店舗を出店して、そこで接客販売を行うというのが、消費者レベルにも浸透が進んでいくのかなと思っている。

ライブコマースとももちろん相性が良いし、人が集まるメタバース空間では広告などもビジネスとなる。実店舗の体験と既存のECの利便性を併せ持つメタバースコマースが、新たな経済圏を作るような流れを期待している。

三浦:広告も含め、仮想空間内での情報配信には可能性を感じている。私が遊んでいるゲームでは、ゲーム内のビジョンで動画を配信するという取り組みが最近実施されている。ゲームをしているだけ、リアルな情報も得られるような時代になってくるのかなというのは考えている。


よりリアルなECに


司会:専用の機器は必要なのか。

大多:没入感などはある程度損なわれるが、スマホ一つで一般的なメタバース空間には参加ができる。消費者に普及するためには技術的な歩み寄りが今後も必要だろう。市場としての可能性が広がればツールの開発もより進んでいくはずだ。

手塚:メタバースというのは、リアルの良いところをオンラインで体験できるようにするという話かなと考えている。例えば、ECではないが、「oVice(オヴィス)」という「Zoom(ズーム)」のようなコミュニケーションサービスを一部の会社が導入している。

そこでは、会議室みたいなスペースがありその中に人がいる。みんなで同時に話すのではなく、その中で人を動かして、近くでその人の方を向いていると、話が向こうに聞こえるとか、リアルでの交流会のようなコミュニケーションが成立している。

このようなリアルでできていることをオンラインの空間でもできるようにするというサービスは、さまざまな局面で登場している。ライブを視聴するのに、動画や配信でも見られるが、ステージ上のボーカルだけじゃなくて、後ろのギターの人がどういうプレーをしているのか、その空間であれば見られるとか、そういうちょっとリッチな体験が可能になる。

それがショッピングでもできるようになるというのは流れとして考えられる。知人がSNSで「メタバースでカニを買った」と投稿していた。やはり単純にECで商品の画像とかを見て買うだけじゃなく、メタバース上で、ちょっとしたコミュニケーションをしながら、しかも商品を多角的に確認することもできるということで、より買いたい気持ちになったようだ。


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