2022.01.21

【記者座談会 2022年EC業界予測<5>商品調達編】価格高騰、仕入難の悩みまだ続く


多方面に広がる調達難


星野:先日取材した企業は、中国で資材の原料になるプラスチックの材料を作り、それを国内に輸入して、国内でその資材の完成品として、EC事業者などに卸している。この企業は、中国の人件費上昇や原油価格高騰の影響で資材の価格を上げなければいけない状況に直面している。

今年は実際に、EC事業者に対して価格を上げたいという要請が来るのではないかと予想しているところもある。中国の人件費高騰に関しては、為替も影響している。

後藤:為替の影響も確かに大きい。住宅設備(住設)業界では全体的に商品が足りていない。その中でも給湯器は深刻な不足に陥っている。住設ECは本気で死活問題だ。まったくモノがない状況が続いている。

司会:半導体不足も深刻だ。

大多:世界的な半導体不足でイメージしやすい家電やパソコンなどに加えて、自転車などが供給不足に陥っているという話も聞いている。一部のパーツやフレームなどの素材が全然入ってこなくて、他の部品が足りていても生産ができていない。

星野:ウォーターサーバーの部品などもないらしい。

大多:EC事業者によるプライベートブランド(PB)商品の開発が、独自性を打ち出すための施策として近年活発化していたが、この1年間はその動きがぱたっと止まってしまった企業も多い印象だ。話を聞いてみると、やはり海外で生産ができない状況に陥っているようだ。小規模のPB商品だと生産基盤もないし、メーカーのようなネットワークもない。直接的な商品調達ではないが、商品開発という面で、そういう影響も出ているというのは取材を通じて感じている。

黒田:私の取材先では、カニや魚が捕れないというのをよく聞く。ズワイガニの水揚げ量が昨年の4割減となり、仕入れ価格は倍以上という話も聞く。一般消費者に向けて販売価格を上げるのは難しいので、「内容量を10~20%減らして販売するしかない」と考えている企業もあった。


▶▶「記者座談会 2022年のEC業界予測」テーマ別一覧はこちら





RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事