2021.12.29

釣り具メーカーのハヤブサ、物流倉庫の業務を8割削減 倉庫ロボット「オートストアシステム」導入し

釣り具メーカーのハヤブサは7億7000万円を投じて「オートストアシステム」を導入

釣り具メーカーのハヤブサは21年1月、ピッキングを行うロボットストレージシステム「オートストアシステム」を、物流倉庫に導入・稼働させた。2021年12月現在、ハヤブサの倉庫では26台のロボットが入庫・ピッキングを行っている。1時間当たりのピッキング回数は、1712回に及ぶという。「オートストアシステム」の導入以後、物流倉庫内の人の動きを約8割削減できたとしている。倉庫で働く人員の残業時間も大幅に削減できたという。

 

 

釣り具10万品目を扱うハヤブサ


ハヤブサは国内でも有数の釣り具メーカーだ。釣りに使うハリや糸、竿からリールなどに至るまで、約10万品目を扱っており、釣り用品専門店に卸販売している。国内のほぼ全ての釣り用品店で、ハヤブサの商品が流通しているという。近年では、釣り具だけでなく、ゴルフ用品やアウトドアアパレル、ペット用品なども製造・販売しており、ECを通じた直販も行っている。ハヤブサの20年12月期の売上高は約34億円。25年には50億円を目指しているという。



ハヤブサによると、コロナ以降、釣り具の需要が大幅に増加したという。釣りやゴルフといったアウトドアレジャーは人と接触する機会が少ないため、“密”を避けるコロナ禍において、市場全体で顧客数が増加したとしている。ペット用品も巣ごもり需要でニーズが拡大した。その結果、ハヤブサが扱う商材はほぼすべて、出荷量が増加したという。



一方、コロナ禍は海外からの製品供給にも影響を与えた。2021年は、製品を製造する東南アジアでコロナの感染が拡大。ロックダウンの影響で現地の工場が稼働できない期間が長きにわたったという。結果として、国内での製品の需要に対して、商品の供給が追い付かない状況も一部で生じたとしている。

 

人件費高騰・人材不足を解消


ハヤブサが、倉庫内の物流効率化の検討を開始したのは2018年だった。兵庫県・三木市にあるハヤブサの物流拠点の近くでは、大型の商業施設が開業したことなどが原因で、2016年ごろから人件費が高まっていたという。ハヤブサでは、倉庫の人員が将来的に不足する可能性が高いことを考え、物流倉庫内の自動化・効率化に乗り出したとしている。



ハヤブサでは、中長期的な経営目標として、売上高を2倍にするという計画を立てていた。釣り具などのアウトドア用品は季節によって需要が異なるため、繁忙期には出荷作業を行うスタッフの夜勤が発生することもあったという。人材不足の影響もあり、それまでの物流倉庫の環境では、「売上高2倍」の目標に対応できないのではないか、という不安もあったとしている。

ハヤブサが「オートストアシステム」に出会ったのは2019年。当時すでに、「オートストアシステム」には、家具販売大手のニトリや、商業施設のマルイの倉庫などへの導入実績があった。ニトリの倉庫では、「オートストアシステム」の導入以後、ピッキング件数が導入以前よりも5倍に増加したといった成功事例が生まれていた。ハヤブサの導入のきっかけになったとしている。

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