2021.12.29

釣り具メーカーのハヤブサ、物流倉庫の業務を8割削減 倉庫ロボット「オートストアシステム」導入し

釣り具メーカーのハヤブサは7億7000万円を投じて「オートストアシステム」を導入


導入コストは工場新設も含め7億円超


ハヤブサは2020年10月、「オートストアシステム」の導入を完了した。「オートストアシステム」の導入に合わせて、ハヤブサの本社周辺地域に点在していた倉庫を、新設した一つの拠点に集約した。建物の倉庫スペースにあたる1フロアを、「オートストアシステム」が稼働する上段と、人が作業する下段に分けるという、特殊な設計を採用した。工場の建設費用も含め、「オートストアシステム」の導入には、約7億7000万円を投じたという。


リードタイムを3日間短縮


ハヤブサの倉庫で「オートストアシステム」が稼働し始めて以降、①出荷時のミスの削減 ②倉庫スタッフの時間外労働の削減 ③倉庫スタッフのオペレーションの削減 ④出荷のリードタイムの短縮⑤倉庫の電気代の節約――の5つのメリットが明らかになったとしている。

ハヤブサでは「オートストアシステム」の導入以前、作業が属人化してしまっており、倉庫スタッフの中でも、ベテランの人材に作業が集中していたという。結果的に、一部のスタッフの時間外労働が増加してしまっていたとしている。

「オートストアシステム」の導入で、スタッフの残業時間が、平均で1人当たり月間5時間程度に削減できたとしている。



④の「リードタイムの短縮」については、最大で3日間短縮できるようになったという。システムの導入以前は、日曜の夜にかけて注文があった商品について、4日後の木曜日に出荷するということが常態化していた。導入以後は、日曜の注文を、最短で月曜日に出荷することができるようになったとしている。

「オートストアシステム」の導入を主導した、ハヤブサの歯朶哲也(しだ・てつや)常務取締役は、「業績拡大に対応することだけが、システム導入の目的ではない。スタッフの負担を軽減し、社員の幸せにつながる職場環境を整えることが、今後の企業の在り方としてとても重要だと考え、導入に至った」と話す。「今後、『オートストアシステム』の導入を検討している企業は、まず、自社の倉庫の自動化の目的・条件などを明確化すべきだ。その後、自社に近い事例を収集し、社内の意見などを聞きつつ、検討をすべきだ」(同)とも話している。

 

オートストアシステムとは…


物流倉庫でピッキングを行うロボットストレージシステム。「グリッド」と呼ばれる収納スペースを倉庫に設置し、「ビン」と呼ばれる箱に商品を収納する。受注システムやWMSのシステムと連携したロボットが、自動で「グリッド」の上部を移動し、商品が収納された「ビン」をピックし、窓口まで運ぶ。ハヤブサやニトリ、マルイのほか、国内では43社に導入した実績がある。







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