「何日で売り切りたいか」を基準に仕分け
では、過剰在庫にメスを入れるため、具体的にどうすればいいのかをお話しします。
まずは全ての在庫を3つに分類するわけですが、在庫管理をシステム化していなくても手作業やエクセルでもできる事はあります。
商品の分類を判断する際、無理に販売予測を立てる必要はなくて、直近何日間とか直近何週間とか期間を決めたうえで、過去の売上データを「予測」とするだけでも結構です。
そして「何日間で売り切りたいか」を設定します。
▶売り切りたい期日までに売り切ることができそうなら「よく売れている」・・・フル回転在庫
▶売り切りたい期日までに半分も消化できなくて余剰在庫になりそうなら「全く売れていない」・・・不良在庫
▶その中間(普通に売れるが売れ残りそう) ・・・過剰在庫
と分類してみましょう。
ここで注意したいのは、商品にはライフサイクルがあるということ。売れ行きは大半の場合、「フル回転」→「過剰在庫」→「不良在庫」という順をたどります。
ですので、フル回転(つまり人気商品)な商品にばかり販促を行っていると、気付かないうちに過剰在庫(隠れた人気商品)が不良在庫に落ちてしまうリスクが高まります。
また、フル回転に分類されている商品でも、例えば別の新商品を投入してその販促にリソースを割きすぎるあまり、もともとフル回転だった商品が次第に売れなくなって過剰在庫に落ちるというのも、よくあることです。
実際、私はかつてベビー服EC事業を経営していて、こうした事態に直面したことがありました。当時は「新商品を出したから、既存品は相対的に下がったのだろう」程度に考えていましたが、販促が手薄になったのが原因だったのです。
以上の点に留意すると、それぞれの在庫が目指すべきゴールが決まります。フル回転と過剰在庫は売上と利益をつくるための販促を、不良在庫は仕入れにかかった資金を取り戻すことを第一に考えたセール等を実施するのです。
次回は、本稿の続きとして、商品ごとの在庫リスクに合わせた販促や、膨大なSKU数にも対応する方法についてご紹介します。
【著者プロフィール】
フルカイテン株式会社
代表取締役 瀬川直寛(セガワ・ナオヒロ)
売上増加と在庫削減の両立を実現するシステム
「FULL KAITEN」を開発し、クラウドサービスとして大手小売企業や楽天市場のショップ・オブ・ザ・イヤー受賞店舗などに提供。 EC経営者として倒産危機を3度乗り越えた経験を踏まえた理論・考え方は、多くの企業から高く評価されており、「FULL KAITEN」にも多くの問い合わせが寄せられている。