今年もおせち商戦がスタートした。多くのEC企業が8・9月からおせちの販売を開始し、早期購入特典などを付けて顧客獲得を図っている。今年の年末年始は例年より多い9連休を取れる人が多いと言われており、帰省して家族でおせちを楽しむ人が増えると予測できる。家族で楽しめるおせちといっても商品内容はさまざまだ。各社はそれぞれの戦略で商品内容の差別化を図っている。有力企業の今年のおせち戦略について迫る。
<CONTENTS>▶千趣会、トムとジェリーのおせち 昨年はSNSで話題、初日に完売▶宝島社、誌面などでも告知 昨年より25%増収目指す▶小学館、「美的」エディター参加 3年連続完売のおせちを進化▶コロワイドグループ、累計20万食を販売 グループ力生かし販売促進へ
大手通販企業、海産物EC企業、食品EC企業、外食EC企業などが、今年の8・9月に一斉におせちの販売を開始した。多くの企業は、昨年よりも長い年末年始休暇を考慮して、家族で楽しめるおせちを販売している。
小学館ではタンパク質やビタミンなどを摂れる美容や健康に配慮したおせちを販売している。具材にすっきりとした甘さのオリゴ糖を使用するなど調味料にもこだわり、上品な味わいに仕上げている。さらに今年から「ワイン」をセットで販売する商品展開も開始し、需要のある層からの購入につなげていく。
大手通販企業の千趣会は、「トムとジェリー」「スヌーピー」「ムーミン」「すみっコぐらし」「ディズニー」など、人気キャラクターを使用したおせちの販売を開始した。
「実際に『トムとジェリー』は昨年も販売し、SNSなどで話題を集め、即完売した。それほどキャラクターおせちは人気を集めている」(担当者)と話す。
千趣会はキャラクターというIPを武器に、小さい子どもと一緒に楽しんで食べられるおせちを販売し、購入につなげていく。
新規参入は高い障壁
今年もおせち販売に参入する企業がある。個人的におせち業界はレッドオーシャンだとみている。新規参入企業が販売を伸ばすためには、より価格を安くしたり、さらに高級食材を使用するなど、明確な差別化を図らなければ、販売に苦戦するだろう。
おせちを販売する企業は大手企業も多く、すでに多くの顧客を持つ企業が、おせちを販売している。既存顧客におせち販売の情報を配信すればいいため、マーケティング費用もかさまない。
実際に宝島社では、自社の資産を最大限活用し、誌面での告知や、誌面のSNSアカウントで告知をして、販売につなげていく計画だ。すでに先行企業がより多くの顧客を獲得しようと動いており、新規参入企業がおせちで売り上げ・利益を確保するのは並大抵のことではないだろう。