2024.03.18

【創業60周年インタビュー <中編>】タンスのゲン 橋爪社長・工藤副社長「売り上げゼロからの復活劇」

工藤直也取締役副社長(左)、橋爪裕和代表取締役社長(右)



タンスのゲンの60周年を振り返るインタビューの中編(全3回)は、2012年から現在までを振り返る。橋爪裕和社長と工藤直也副社長は2012年に新卒入社した同期メンバー。入社した年の会社は殺伐とした雰囲気だったといい、会社の存続が危うい年だったそうだ。橋爪氏と工藤氏に聞いた。




【<前編>「シフトチェンジと震災が契機」】
https://netkeizai.com/articles/detail/10998

【<後編>「3本柱で売上高1000億円へ」】
https://netkeizai.com/articles/detail/11114


震災で倒産の危機に


――転換期だったという2012年の実際はどうだったのか?

工藤:販売アイテムがタンスやベッドなどの大型家具を中心に仕入れ販売品を含めて2000商品あった。これら2000商品をすべて総入れ替えした1年でもあった。全ての商品を廃番にして、一から全ての商品を作る形に切り替えた。

現状のままでは、会社が倒産する危機的な状況だった。売り上げは35億円あったが、東日本大震災による影響で、配送費などの物流費が異常な高騰をみせるなど、大打撃を受けていた。

売れない大型商品を全て小型アイテムにシフトし、全てのアイテムを自社オリジナル品に切り替えた。当時を振り返ると、本当に大変な時期だった。

橋爪:当時、商品の仕入れは現会長だけが担当していた。それを一気に割り振り全員で商品を作る形になった。

この時から、ファブレスの形でオリジナル商品をどんどん作った。ファブレス対応工場の開拓も進めた。当初は1~2社程度だったが、数年で100~200社と連携できるネットワークを構築した。その結果、家具以外のカテゴリーにも進出して業績を回復させた。

工藤:翌年の2013年度には、売上高が45億円になった。この売り上げは、既設製品をすべて廃番して、新商品によるものであり、実質、売り上げゼロから1年で作ってきたという手応えを覚えている。

橋爪:ネット通販の黎明期から事業を展開してきたこともあり、SEOなども含めてノウハウが蓄積できた。特にSEOは得意だったため、ネットで売る力を備えていたことも業績を戻すことができた要因の1つだ。

改めての説明になるが、2012年までにネット通販の展開は、2002年に楽天市場への出店した後、2006年に自社EC、次いでヤフーショッピング、auPAYマーケットにも出店し、2012年にはAmazonでも展開している。

工藤:売り上げを作った翌年の2014年に楽天市場で二重価格に関する問題がクローズアップされた。私から見ても明らかにおかしい、根拠のない二重価格表記が目立っていた。そんな中でも、嘘のない販売手法をきちんと展開した。製品のクオリティーを向上させ、販売ページの改善を地道に取り組んだ。


SEOが始まり


――大変な時期に入社した二人は当時、何を担当していたのか?

橋爪:私は通販運営でSEOなどを中心に対応していた。

工藤:私も同様にSEOなどを担当していたが、徐々に寝具をはじめ、さまざまな製品の開発を行うようになった。これがわれわれの1年目の記憶だ。


▲入社当時の様子を振り返る2人

橋爪:当時、会社には40人ほどが在籍していたが、業績の悪化などもあって退職者が多い年だった印象だ。

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