2024.01.26

【ECモールに聞く!2024年の戦略】『Makuake』中山亮太郎社長「サポーターと実行者のつながりを強化」


応援購入サービス「Makuake」を運営するマクアケの2023年9月期の売上高は、前期比9.4%減の38億1000万円だった。2023年9月期の応援購入総額(GMV)も同11.0%減の176億900万円だった。中山亮太郎社長は「最悪のボトムの段階は脱した。2024年は、よりサポーター(購入者)が実行者とつながることのできる仕組みを構築していく」と話す。中山社長に2023年の振り返りと2024年の展望を聞いた。



GMVは下げ止まり


――2023年を振り返ってもらいたい。

個人的には売上高、GMVのどちらも減少のボトムは脱したと捉えている。コロナ禍では多くの人が旅行やフェスに行けなかったため、必然とオンラインでの物販に注目が集まり、その流れも相まって「Makuake」は成長を遂げた。

だが現在、コロナも5類に移行し、消費者のお金の使い方も変わってきた。現在はコロナ禍に抑制された、旅行やフェス、友人との食事などに、多くの消費者がお金を使うようになり、ある意味コロナ前に戻っている状況だ。

このことが影響し、現在の「Makuake」の売上高、GMVはともに前年と比べると減少しているが、コロナ前の2019年9月期の売上高は13億4400万円、GMVは54億8000万円、2020年9月期の売上高は32億2500万円、GMVは146億6400万円と、コロナ前と比べると、現在はきちんと成長できている。市場環境がコロナ前に戻る中でも、当社としては着実にサービスを成長させることができている。

今、ご質問で「コロナが収束に向かうと、消費者のオフライン回帰が起き、必然と『Makuake』の利用者数などは減ると予想できたのではないか?」と言われたが、この質問に対しては、「コロナ後の見極めは非常に難しかった」。

結果論としていろいろと分析はできるが、コロナ禍真っ只中では、先を見通すことは難しかった。事業者目線の変化は予定通りとも言えたが、消費者の財布の行き先の変更は大きな変化だった。激動の変化だったと感じている。

その中で当社としては、2023年は原点に立ち返り、実行者とサポーターの”負の体験”を減らすことに注力した。「Makuake」を長く運営してきて、改善点などが明らかになってきたため、そこの改善に集中的に取り組んできた。実行者のサポーターに対する対応や連絡方法など、細かい点の改善に力を注いできた。

また、コロナ明けに見えてきた新しい消費行動に対応するべく、プランニングの準備も同時に行ってきた。2023年はフェーズ1として、”負の体験”を減らすこと、フェーズ2が2024―2025年にかけての新しい時代に対応していくことだ。


実行者との関係を強化

 
――2024年の展望は?

2024年は、よりサポーターが実行者とつながっている「関与感」を提供していきたい。コロナ禍になり、消費者の購買体験も変わってきた。いまやオンラインで安く商品を購入することができ、それが早く届くことは当たり前になった。


この流れが弱まるものではないが、それに加えてコロナ禍でオンライン上でも消費者は感情を表現するようになった。SNSなどで購入体験の感想を表現する人が増えた。買い物も無感情で購入するものもあれば、商品に感動して購入するものもある。購入後、購入先との距離が近くなっていることが、一つの体験価値として表れるようになってきた。

「このブランドに関わっている」「感謝を伝えることができる」「感謝を伝えてもらっている」などブランドに関与していることを大切に思う人も増えており、「Makuake」はオンライン上での応援購入サービスであるため、まさにこのことが分かる。時代の流れにマッチしているサービスだなと改めて感じている。

「Makuake」では今後も、この関与感を感じられるようなサービスを付加していく。詳細なことはまだお伝えできないが、実行者とサポーターの距離が精神的に近くなっていくということを目指す。プラットフォームの仕組みで、そのような機能を構築していく。

個人的な願望も含めるが、「Makuake」の未来としては、多くの実行者に貢献しているサポーターを讃えるような文化・風潮を作っていきたい。

――その文化とは?

そのためには「あの人、多くのチャレンジャーを応援しているよね」という貢献性をシステムとして評価できることを目指す。いいモノが多く生まれ、そのいいモノを支援するサポーターを高く評価するという、サポーターと実行者の関係性を強固なものにしたい。


勝ち負けも明確に

 
――最近では、「Makuake」の上手い活用法を分かってきた実行者も増えている印象を受ける。

感謝を伝えたり、細かなコミュニケーションを取り、サポーターとのコミュニケーションを大事にしている実行者が増えている。

それをうまく行っている実行者は、「Makuake」でのプロジェクト終了後も、サポーターはきちんとその実行者のファンになっている。一般販売で商品を発売する際も購入者になっていたり、商品の改善に関わっていることが多い。「Makuake」をただ単に販売というプラットフォームとして利用するだけではなく、いかに顧客と関係性を深められるのか。そこがますます大事になってきていると感じている。











 

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