2023.11.02

ZOZO、新物流拠点「ZOZOBASEつくば3」を公開 100億円を投資、人員30%削減

執行役員 田代将広氏

ZOZOは10月25日、新たな物流拠点を公開した。既存拠点と比較して約4倍の100億円を投資し、約30%の人員削減を実現する。つり下げ式の仕分けシステムを国内で初めて導入した。「2024年問題」や労働人口の減少を見据え、省力化をコンセプトとした。
 
「ZOZOBASEつくば3」は同社でつ目となる物流拠点で、入荷・出荷・保管を担う。地上5階建で、延床面積は同社最大規模の約13万7000平方メートルある。アイテムごとに形状が異なり、小ロットで多品種という取扱商材の特徴に合う自動化ソリューションを導入した。1時間当たり約1万件の発送が可能だ。


▲「ZOZOBASEつくば3」の外観
 
11月1日から本格稼働を開始し、繁忙期である12月にはフル稼働する見込みだという。
 
再生可能エネルギー由来の電力を活用し、経済産業省より「カーボンニュートラルに向けた投資促進と税制」の認可を受けている。
 
同拠点は将来的な人口減少を見据え、自動化を推進した。倉庫管理システム(WMS)を自社開発したほか、国内で初導入となる仕分けシステムを導入した。目視や手作業で行っていた一部の作業を自動化することで、標準化と生産性の向上を実現する。


3の自動化ポイント


入荷においては、「tーSort(ティーソート)」が格納先に応じた仕分けを自動で行う。作業員が無人搬送車(AGV)に商品を載せると、自動的に適切なオリコン(折りたたみコンテナ)へ格納する。約500基のロボットが走行し、1時間あたり3万2000点を処理できる。



▲「t-Sort」でAGV(黄色のロボット)が適切なオリコンへと走る
 
ピッキングした商品の一次保管と、優先度に応じた順立ては、「シャトル&サーバ」が自動化する。約5000個のオリコン(約8万5000点の商品)を格納できる。


▲「シャトル&サーバ」ではシャトルがラックを高速で昇降する
 
「機器の一部には、ZOZOのロゴの色を反映している。こうした遊び心で少しでも楽しく作業できるようにした」(シャトル&サーバ導入担当 岡田亮二氏)と話した。

国内初導入となるつり下げ式の仕分けシステム「Pocket Sorter(ポケットソーター)」は、1回の注文で複数点の商品が購入された場合の仕分けや順立てを行う。「シャトル&サーバ」から運ばれた商品を作業者がポケットに格納すると、1時間当たり1万5000点を仕分ける。ポケットを天井からつり下げることで、床のスペースを有効活用できる。


▲「Pocket Sorter」ではポケットが天井のレールを縦横無尽に走る


▲商品をスキャンし、ポケットに入れる様子

ポケットはその後、梱包の作業エリアへ進む。作業員はポケットの届いた順番に、商品を梱包し、発送へと進める。


社会状況の変化に対応


同拠点をつくば市に設置した理由について、「既存の千葉・習志野と茨城・つくばの拠点との親和性が高い。つくば市は人口が増加しており、採用にも向いている。新規のアルバイトを500人採用する予定で、順調だ」(執行役員 田代将広氏)と説明した。

 
「労働人口の減少や物価高など、社会状況の変化に対応していく必要がある。投資をした効果は大きい。社会課題解決の役割も担える拠点で、誇りに思う」(同)と話した。
 
今後、既存拠点のリプレイスも進めるという。
 
「物流の『2024年問題』は、強く受け止めている。配送業者との連携、新たなソリューションの導入、労働環境の改善などの取り組みを続けていく」(同)と意気込んだ。




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