2023.10.16

ユニクロ、EC売上は2.3%増の1338億円 下期はリアル回帰で減収、情報発信・OMOさらに強化

アパレル最大手のファーストリテイリングは10月12日、2023年8月期における国内ユニクロ事業のEC売上高が前期比2.3%増の1338億円になったと発表した。今年5月以降、外出自粛ムードがなくなり、リアル店舗の集客が拡大したことで、下期のEC売上高は減収となった。ECでの情報発信不足という課題もあるという。

国内ユニクロ事業のEC売上高は、上期が前年同期比9.7%増となったが、下期は同6.9%減だった。通期のEC化率は、前期比1.2ポイント減の15.0%となった。

国内ジーユー事業のEC売上高は、同約15%増となった。EC売上高の実数は開示していないが、EC化率は約12%だという。そこから計算すると、EC売上高は354億円程になったと推定できる。


海外の成功事例を国内に展開も


ユニクロ事業では、スタッフによるライブ配信「LIVE STATION(ライブステーション)」や、スタッフや顧客によるスタイリング投稿「StyleHint(スタイルヒント)」など、多様なコンテンツの発信に注力しているが、まだ足りないと考えている。


▲ライブ配信などブランド強化のための情報発信に注力(画像は決算資料から)

コロナ禍の収束に伴い、多くの顧客がリアル店舗に訪れていることを生かし、接客を通した新規アプリ会員の獲得や、店頭と連動した情報発信などを強化していく方針だという。店舗とECが一体となった新しい購買体験の構築を再加速する考えだ。

グローバルでも「LIVE STATION」やSNSでの発信を強化し、ユニクロのブランド力強化を推進している。海外では店舗スタッフがライブ配信を行ったり、EC購入商品の店舗受け取りで工夫している事例もある。海外のOMO(ネットとリアルの融合)の成功事例を国内やグローバルで展開していく考えだ。


▲海外でさまざまな店舗施策を実施している(画像は決算資料から)


▲店舗ごとに魅力を発信(画像は決算資料から)


柳井社長「売上10兆円は難しくない」


柳井正社長は、「今後、数年程度で売上高5兆円を達成し、さらに引き続き、売上高10兆円の達成を目指していく。現在のやり方で、売上高5兆円までの道筋はほぼ見えている。あとはこれを2倍にするだけで、そんなに難しくないと考えている」と話す。

さらに柳井社長は、「ユニクロの商売は流行を追いかけるファッションビジネスではない。『LifeWear』は究極の普段着だ。優れたデザイン性、ファッション性を備えながらも、高い機能性を持ち、着やすくて快適で丈夫で長く着られる服を誰でも買いやすい価格で世界中のお客さまにお届けしている。店舗やECではベーシックなアイテムをきっちりそろえ、欠品なしで売っている。お客さまが欲しい服を欲しいときに、そこにあってすぐに買える。その安心感と信頼感でお客さまに何度もご来店いただく。これがユニクロの成長の原動力となっている」と話す。

ファーストリテイリングの2023年8月期における連結売上高は、前期比20.2%増の2兆7665億円だった。2024年8月期の業績予想では、連結売上高を同10.2%増の3兆500億円まで伸ばす計画だ。同社初の売上高3兆円超えを目指す。






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