2023.07.07

アスクルやデンソーなど7社、幹線中継輸送サービス「SLOC」を合同実証 ドライバーの環境改善と輸送効率を向上

スワップボディコンテナの交換の様子

デンソー、アスクル、エレコム、タカラスタンダード、三井倉庫ロジスティクス、安田運輸、大和ハウス工業は7月10日、荷物を積載する荷台(コンテナ)部分を脱着できるスワップボディコンテナを用いた幹線中継輸送サービス「SLOC(Shuttle Line Of Communication)」の実証実験を開始する。業種の垣根を超えた7社合同での取り組みにより、ドライバーの労働環境改善と輸送効率向上を目指し、社会実装に向けた課題を抽出する。

デンソー、アスクル、エレコム、タカラスタンダード、三井倉庫ロジスティクス、安田運輸、大和ハウス工業は7社合同で、スワップボディコンテナを用いた幹線中継輸送サービス「SLOC」の実証実験を行う。実験の期間は、7月10日~14日。静岡県浜松市と埼玉県坂戸市を中継地点とし、関東・関西間にて実施する。本実証では、ドライバーが行う輸送作業と荷物の積み降ろしなどの荷役作業を切り分け、荷主が荷役作業を行う「荷役分離」や、異業種による複数の荷物を同じコンテナに積載する「混載輸送」も行う。

物流業界では、ドライバーの長時間労働が深刻化しており、荷物の積み降ろしのために待機する「荷待ち」時間も要因の1つと言われている。。さらに長距離ドライバーの場合は、長時間の運転に加え宿泊が伴うため、長い拘束時間が問題となっている。運転だけでなく、荷役作業を担うため、身体への負担が大きいことも課題となっており、これらの問題はドライバー不足にもつながっている。



こうした状況を背景に、2024年4月から働き方改革関連法により、自動車の運転業務について時間外労働の上限規制が適用される。これによりドライバーの労働環境が改善する一方で、ドライバー不足のほか、今後国内でトラック輸送している荷物の約1/4を運ぶことができなくなると考えられており、「2024年問題」と呼ばれている。

こうした問題の解決に、1つの行程に中継地点を設け、複数のドライバーで交代しながら輸送する「幹線中継輸送」が注目されている。ドライバー1人当たりの拘束時間を短縮でき、荷主は労働環境を守りつつ荷物を目的地に運ぶことができると期待されている。

こうした状況を受け、デンソーら7社は、ドライバーの労働環境改善と輸送効率向上を目指し、スワップボディコンテナを用いた幹線中継輸送サービス「SLOC」の実証実験を実施する。「SLOC」は、荷物を積載する荷台(コンテナ)部分が脱着できるスワップボディコンテナ車両を活用するとともに、QRコードを使ったコンテナ管理システムを導入することで複数の荷主と複数の運送業者によって荷物を運ぶ新しい輸送形態。


▲SLOCの流れ(イメージ)

スワップボディコンテナ車両を用いることで、中継地点でコンテナを分離し、指定されたコンテナに載せ替えて目的地に輸送することができます。トラックの乗り換えや荷物の積み降ろしがないため、トラック同士が待ち合わせる必要がなく、柔軟な運行スケジュールを立案でき、長距離運行を日帰り運行にすることが可能となる。

コンテナを分離できるという特長を活かし、荷主が荷物の積み降ろしを行う「荷役分離」や、異なる荷主が同じコンテナに荷物を積載する「混載輸送」も容易になるという特徴も備える。日帰り運行や荷役分離が実現することにより、若手・女性・高齢者など様々なドライバーの活躍が期待できる。

本実証実験では、1日6便(関西発3便/日、関東発3便/日)を運行し、事前に合意したスケジュール通りに運行できるかの検証に加え、中継地点に複数台のコンテナが置かれた場合でも、ドライバーが間違えずに脱着できるオペレーションの確認と課題の検証も実施。スマートフォンとQRコードを活用したコンテナ管理システムの利便性確認、複数荷主の貨物を混載輸送した場合の役割分担や責任区分の確認と課題の検証も行い、社会実装に向けた課題を抽出する。

本実証においては、アスクル、エレコム、タカラスタンダード、三井倉庫ロジスティクスが荷主となり、荷主および混載作業を安田運輸、中継地点(マルチテナント物流施設「DPL坂戸Ⅱ」)提供を大和ハウス工業、運航スケジュール立案など実証実験を取りまとめるコーディネーターをデンソーが担う。業種の垣根を超えた7社合同の実証実験により、物流業界の2024年問題解決に貢献を目指す。

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