2023.07.03

「消費者庁は説明責任を放棄している」消費者庁のさくらフォレスト措置命令に疑問の声も 措置命令内容を詳説

消費者庁は機能性表示食品への処分の理由の詳細を明かさず


「インシップ判決」とは別の判断


「DHA・EPA」については今回、消費者庁は、「『効果があるとする論文』と『ないとする論文』が両方ある場合、『機能性がある』と評価するには適切ではないとして、客観的な効果と実証したとはいえない」という認定を行った。

同様に「効く」「効かない」の両方のデータがある事例で、裁判所が、「効果がないとは言えない」という認定を行った事例がある。2022年9月に岡山地裁が判決を行った、いわゆる「インシップ訴訟」だ。

2022年9月、消費者団体が、健康食品の通販を展開するインシップに対して、景表法違反があったとしてノコギリヤシサプリの広告の差し止めを求めていた訴訟で、岡山地裁は、消費者団体の訴えを棄却する判決を下した。


▲岡山地裁は2022年9月にインシップの勝訴を告げた

判決の中で、岡山地裁は、「医薬品でさえ、対象者の素因や症状の程度、試験の条件、評価方法等によって、治療効果がみられないとの試験結果が出ることはあり得る」「そのような場合であっても、直ちに治療効果がないものと評価することはできない」とし、「ノコギリヤシの頻尿改善効果を肯定する研究報告等も相当数みられるのであるから、少なくとも個人差のある一定程度の頻尿改善効果が認められる可能性は否定しきれない」と判断した。

消費者庁は、インシップの判決のことについて、当初「承知していない」としていた。その後、判例があることを前提として、今回の判断との相違点を指摘した。「(インシップの)裁判は民事であり、原告となっていたのは消費者団体だった。つまり、裁判では、消費者団体が、『有効だとする合理性はない』という証明をしなければならなかった。一方、今回の処分については、消費者庁が不実証広告規制に基づき判断する責任がある。消費者庁では、『機能性があるとする合理的根拠はない』と判断した」(表示対策課 口ノ町 達朗上席景品・表示調査官)と話している。

つまり、景品表示法の措置命令においては、表示の合理的根拠があることを実証する責任は事業者にあるため、事業者が提出した資料が合理的ではないと消費者庁が判断したことにより、不当表示と判断されたとということになる。

 

専門家からも疑問の声


さくらフォレストへの措置命令については、景品表示法に詳しい専門家からも、疑問の声が上がっている。

前出の成弁護士からは、「『オリーブ由来ヒドロキシチロソール』については、何の説明もされていないに等しい。試験結果の評価の問題だとしているが、公表されている届け出資料を見ても、何も分からない。判断理由を何も示さないのは、行政の説明責任の放棄ではないか」としている。







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