2023.06.21

農産品EC「ノウタスモール」、市場価格の1.4倍で販売成功 ネットプロテクションズ「あと値決め」導入

ノウタス 高橋明久社長

ノウタスは、生産者のストーリーとともに農産品を販売するECサイト「ノウタスモール」を2022年9月5日にプレオープンし、今秋にも本格的にサービスを開始する。今年4月には、ジャニーズ事務所所属の村上信五氏が事業開発メンバーに参画するなど注目を集めている。

ノウタスは、異業種のサービスを農家向けに最適化し、農家の課題を解決することを目指し、2022年4月に設立した。現在の事業開発メンバーの数人の実家が農家であることから、農業のDXを目的に設立前の2018年から活動を開始。その後、取り組みがメディアに取り上げられたことで注目を集め、法人化してスタートした。

農家の平均年齢が70歳を超えて高齢化が深刻になっている。高橋社長の実家は桃の農園を経営。家族経営を助けるために、デジタルツールを活用してこれまで農業に関わりのなかった企業に参画を促すことで、農家のすそ野を広げていくことが必要だと考えた。

そこで考えたのは「エンターテインメントと農業」という考え。ノウタスでは、農業の課題を解決するために、農を「知る」「関わる」「体験する」ことで人々の生活に「農」を足す「アグリテインメント(農+エンターテインメント)」サービスの企画開発を行う。

「ノウタスモール」は、「生産者のとっておきの逸品」を、消費者が直接購入して食べた後、価格を決めることができる流通の仕組みをコンセプトにした。「市場価格」と「個人が感じる価値」にはギャップがあることに着目。高橋社長は「このギャップを埋めることで生産者の持続可能性を高め、各消費者にとって価値のある生産物を持続的に流通させる仕組みが構築できる」と考えた。そこでネットプロテクションズ(以下NP)が提供するポストプライシングサービス「あと値決め」を導入することを決めた。高橋社長は、前職の金融コンサルティングの時代から「あと値決めは斬新だ」と感じていたという。


▲ノウタスモール

プレオープン時の2022年には、岡木宏之取締役が経営する「岡木農園の巨峰、シャインマスカットのセット」を販売した。ここ数年、「シャインマスカット」の人気は高まっているが、巨峰の価格と生産量は相対的に下がっており、巨峰の生産をやめてしまう農家が増えるという課題を抱えていた。

巨峰の市場価格はシャインマスカットの約半分。「本来生産に手間のかかる巨峰に正しい評価をしてもらうことを目的にセット販売を始めた」と話す。

2022年6月、12人の消費者を対象に「巨峰を食べてもらってから価格を決めてもらい、市場価格と比較する」という実証実験を実施した。最低販売価格として送料の1000円に設定し、その後は、ユーザーに上乗せ価格を設定してもらうことにした。その結果、「ほぼ全ての人が、市場価格よりも高い価格(1.4倍)で購入していただいた」(高橋社長)。

今年6月には、ブドウのアグリテインメントプロジェクト「パープルM」を開始した。「もっと楽しく、もっとおいしく、もっと身近に、もっと無駄なく」をテーマに一緒に考えて作り上げる企画で、村上信五氏も関わっている。予約は7月頃から始め、出荷は9月以降を予定する。

高橋社長は「体験を取り入れたECとの親和性は高い。『あと値決め』を活用することで、本来もっと評価されてもよいものをモールで販売することで生産者を応援していきたい」と話している。


<「あと値決め」サービス概要>
 ポストプライシングサービス「あと値決め」は、消費者が実際に体験した「あと」で自ら「値決め」を行うことができる仕組みで、ユーザーが実際に食べた後の満足感や生産者への応援といった要素を価格に取り込むことができる。

・ネットプロテクションズHP : https://corp.netprotections.com/
・あと値決め:https://pricing.netprotections.com/
・ノウタスモール:https://mall.notas.co.jp/







RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事