2023.06.19

「ヤフーショッピング」、『原則1社1店舗』制限を検討 2店舗目以降は有料化も、目的は不正利用対策

ヤフーがECモール「ヤフーショッピング」において、原則1事業者当たり、1店舗までの出店を制限することなどを検討していることが分かった。実際に複数店舗を運営する出店者にメールで出店者の制限を検討していることを伝え、アンケートにて店舗の意見をヒアリングしている。

ヤフーに確認したところ、「現在、複数出店に限らず、多くの不正報告が確認されている。この出店数の制限は、不正利用対策の一つとして検討している」(広報)との説明する。まだ検討段階であり、複数出店を制限する施策が決定しているわけではないという。

ヤフーは6月8日、「ヤフーショッピング」に複数アカウントを持っている店舗事業者に向けて、店舗数制限の検討とアンケート回答に関するメールを送信した。アンケートでは「店舗数を制限すると、現在運営している店舗の販売形態や運営全般にどのような影響があるのか」「2店舗を持つ場合、特定の条件で有料で出店できるプランを検討している。2店舗目以降、有料化にすることに関しての意見や要望」「有料プランはいくらなら最適なのか」などに対する回答を任意で求めている。

ヤフーは「ヤフーショッピング」のストアアカウントの売買・譲渡を禁止している。だが、昨今、不正に入手したストアアカウントでビジネスを行う事業者も存在したようだ。今回の出店店舗数の制限により、不正利用の防止につなげたい考えだ。


2013年の無料化で店舗数が急増


ヤフー2013年10月、「eコマース革命」と銘打ち、「ヤフーショッピング」のストア出店料(月額システム利用料)と売上ロイヤリティを完全無料化した。さらに、外部リンクを解放し、個人の出店も可能にした。オープンなコマースプラットフォームに舵を切り、先行する「楽天市場」などに対抗する狙いがあった。


▲出店案内ページでも「固定費、ロイヤリティ無料」を大きくアピール

「ヤフーショッピング」の店舗数や商品点数は急増した。無料化により、気軽に出店する事業者や、商品ジャンル別に専門店を複数展開する事業者が増えた。

だが、その後、個人の出店を制限したり(個人事業主は出店可能)、出店費が有料の「PayPayモール」を立ち上げたり(2022年10月に「ヤフーショッピング」に統合し、サービス終了)するなど、オープン化の方針を徐々に軟化させていた。


複数出店者は戦略変更が必要か


健全に複数店舗の運営を行っている事業者にとって、2店舗目以降の有料化が実施された場合、既存の戦略を変更せざるを得ないだろう。店舗をメインのストアアカウントに集約したり、場合によっては「ヤフーショッピング」からの撤退を余儀なくされる出店者も出てくるかもしれない。

一方、複数出店が制限されることで、不正店舗の取り締まり強化には期待が持てる。モール内の健全化が進むことで、ユーザーの利用促進につながる可能性はある。「ヤフーショッピング」はグループの「PayPay」や「LINE」との連携を促進しており、新規ユーザーの獲得を目指している。新規ユーザーが利用しやすい環境を整備することは、出店者にとってもプラスの要素となる。

複数出店者は今後、2店舗目以降が有料化となる可能性を考慮し、どのような戦略をとるべきか、検討を急ぐ必要がありそうだ。





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