2023.05.09

【流通減の「ヤフーショッピング」対策は?】新企画に期待、独自機能有効活用も鍵


ヤフーが運営するECモール「ヤフーショッピング」の2023年3月度の全体流通額が、前年同月比30%以上減少している。昨年からキャンペーンの特典を減らしたり、新しい仕組みを導入したりした影響が出ているようだ。「ヤフーショッピング」の現状をどう分析し、どう対策を練るべきか、出店者やコンサルタントから聞いた。



新施策に出店者が混乱


ヤフーは昨年、「PayPayモール」を「ヤフーショッピング」に統合したり、「注文日+2日以内」に配達できることなどを条件とした「優良配送」対応商品の検索優遇策などを実施している。矢継ぎ早な新施策の実行が、一部の出店者に混乱を招いている。

「ヤフーショッピング」に特化したコンサルティングを行うアルドの佐藤英介代表は、「『PayPayモール』に出店してた店舗の落ち込みが大きいと聞いている。『PayPayモール』の出店者は、『ヤフーショッピング』において、検索が上がりやすいなどの恩恵を受けていたが、それがなくなった影響が大きいようだ」と話す。


▲アルド 佐藤英介代表

「ヤフーショッピング」で照明などを販売するビームテックの吉田甚一朗取締役は、「『優良配送』の検索優遇が始まってから、『ヤフーショッピング』全体の商品力が落ちていると思う。検索結果のデフォルト画面では『優良配送』対応商品しか上位に出ない。チェックを外すことで商品全体の検索結果を表示することもできるが、その仕様に気付いていないユーザーも多いと思う。そういったユーザーからすると、『ヤフーショッピングから目ぼしい商品がなくなった』と見えてしまう」とみている。

ヤフーも「優良配送」の対応商品の売れ行きが伸びているという情報は発信しているが、多くの未対応店舗にマイナスの影響が出ているようだ。

「『優良配送』の導入でサービス品質が上がっているのは間違いないが、まだ対応している店舗が少ない中で、一気に検索優遇まで行ったのは時期尚早だったのではないか」(吉田取締役)と話す。


プレミアム統計の有効活用に光明


アルドの佐藤代表は現状について、「4月は今のところ(4月上旬に取材)『そこまで悪くない』と出店者から聞いている。3月のような大型キャンペーンがあるわけではないので、大きなマイナスの影響は出ていないようだ」と話す。

佐藤代表は、対策としてヤフーならではの機能を有効に活用するべきだと提案する。

「『プロモーションパッケージ』加入特典の『プレミアム統計』機能を活用して商品戦略を練るのが得策だ。『プレミアム統計』を活用すると『ヤフーショッピング』全体のキーワードごとの検索回数やジャンルごとのアクセス数や売れ筋ランキングなどを詳しく調べることができる。モール内データをここまで公開しているのは『ヤフーショッピング』だけだと思う」(佐藤代表)と言う。

ビームテックの吉田取締役は、ヤフーがグループ会社のLINEやPayPayとともに今年3月から始めた「LYPマイレージ」にも注目している。同サービスは、オフラインとオンラインを横断した販促サービスで、対象の実店舗の利用でためたポイントを、「ヤフーショッピング」で利用することもできる。


▲ビームテック 吉田甚一朗取締役

「『LYPマイレージ』で還元したポイントが『ヤフーショッピング』で使われるかは気になるところだ。ドラッグストアなどの買い物で得たポイントを、リアルで使うのか、ECで使うのか。第1弾のポイント付与は4~5月ごろらしいので、注視したい」(吉田取締役)と話す。

流通額のてこ入れのために、5月に新たなキャンペーンを実施するという情報もある。流通額の減少傾向を受け、ヤフーが今後どのような手を打つかに注目が集まる。







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