薪窯で焼いたパンを「薪日野オンラインショップ」で販売する薪火野では、パンのロスをなくすため「エブリデイ ウェルカム メイツ」という仕組みを利用している。
この仕組みはパンの在庫がある時だけ提供する。「事前の通知なし、いつ、何個届くかわからない」という形で登録している会員に商品が送られてくるシステムだ。余っているパンの数により、会員の中からランダムに届く。
メルマガで「いつ商品を送っても良い人」を募り、会員は現在約70人。「届くパンは一つかもしれないし二つかもしれない。いつ届くか分からないため、プレゼントみたいでうれしいという声が寄せられる」(中山大輔代表)。
▲薪窯はクラウドファンディングで作り、パンを返礼した実店舗はなく、ECだけでパンを販売している。定期購入の人もいるが、欲しいときだけ買いたい人は、カートがオープンする水曜日に購入する。パンを焼くのは木曜と金曜の週2日。パンの数が決まっており、予定数に達すると売り切れになる。在庫になってしまう時もあり、新サービスの導入で「余ったパンの行き先を決めておきたかった」と言う。
パン作りのきっかけは、大学生の時に鹿児島の宝島で、環境問題のプロジェクトに参加した時のこと。不便な土地で「生きるための物作り」に感銘を受けた。「身近な人が作った食材を食べて体調が良くなった。食への関心が高まった」(同)と話す。当時世話になった農家から「小麦の種」をもらい、その小麦を石臼で挽き、スコーンなどを作った。「感銘を受けた場所と人の小麦をつなぎたい」と考えてパン作りをするようになる。国産の有機小麦をたくさん使ったパンを販売するショップを立ち上げることにした。
薪火野のパンは全ての工程を中山代表1人で行っている。「パン屋の朝は早く、毎日では自分の時間がなくなってしまう。畑で小麦も育てているので、こちらの時間も必要。自身の暮らしが豊かになるありかたで仕事をしたいと考えている」と話す。