松原食品が大使館と共同で開発しているレトルト食品「おうちで旅する世界の絶品グルメ」シリーズが、コアなファンをつかんでいる。同シリーズのリリースと同時期にECサイトを開設し、新規ユーザーの獲得につなげている。コロナ禍で売り上げの大半を占めていた外食や土産品の需要が下がった際も、同シリーズのおかげで売り上げは落ちなかったという。
「おうちで旅する世界の絶品グルメ」シリーズでは、さまざまな国の大使館の協力を得て、その国ならではの料理をレトルト食品として提供している。第1弾のジョージア料理「シュクメルリ」は、コロナ禍で海外旅行ができない消費者のニーズに合致し、大きな反響を集めた。現在、第7弾まで発売している。
オリンピックなど国際イベントの時期には、活躍した国が検索される傾向がある。そこで同社のECサイトがヒットし、購入につながることもあったという。
一般消費者への販売だけではなく、企業向けに社食として提供することもあるという。
「1945年の創業から裏方がメイン。自社商品を自社名で出して売ることはなかった。同シリーズは挑戦だった」(奈良原一平専務取締役)と語る。
同社は博多ラーメンのスープなどを製造販売している。奈良原専務の個人的なつながりがきっかけとなり、ジョージア大使館と共同でレトルト食品を作ることになったのが始まりだ。
第1弾の「シュクメルリ」が話題を集めたことで、各国の大使館からオファーが来るようになった。「大使館のお墨付き」であり、高いクオリティーが評価されている。
▲シリーズ第一弾のジョージア定番料理(2020年発売開始)「食を通じてさまざまな国を知ることは、平和にもつながると思う。国内には専門店がなかったり、家で作るのが難しかったりする外国の料理も、このシリーズでは手軽に楽しめる」(同)と話す。
今後もさらなるシーリーズの認知拡大を図るため、新商品の開発を進めるという。