ECの不正利用防止サービスを提供するRiskified(リスキファイド、本社イスラエル、エイド・ギャルCEO)は2022年2月8日、日本での事業を拡大していく方針であることを発表した。同社が提供する不正検知サービスでは、不正判定をしなかった購入でチャージバックが発生した場合、チャージバック金額の100%を同社が負担する。同社ではこれまで、海外の有名ブランドのECサイトなどに不正検知サービスを提供してきた。年間約14兆円に及ぶ決済の判定を行っているという。リスキファイドのアンソニー・グエルシオ日本担当カントリーマネージャーに、同社のサービスについて詳しく聞いた。
売上の最大化に貢献
――御社はどのような不正対策サービスを提供しているか?当社は、リアルタイムでECの不正を阻止し、オンラインショッピングのコンバージョン率を最大化するAIプラットフォームを運営している。ECの不正購入のリスクを軽減することで、クライアント企業の売り上げ・利益の拡大をサポートしている。
当社の不正検知ツール「Riskified」をECサイトに導入すると、「なりすましログイン」や「アカウント乗っ取り」などを検知することができる。不正な注文があれば、決済に進めないようにする。
当社のサービスの特徴の一つは、正当な注文者であることを承認する「承認率」が非常に高いことだ。チャージバックの発生率が非常に低いのも特徴だ。
米国のある大型百貨店のECサイトでは、当社のツールの導入以前は、94.5%だった承認率が、導入後は99.5%となった。一方で、チャージバックの発生率は0.19%となった。当社のツールの導入以前は、それだけ正当な注文者に対して、「不正」だという判定をしていたことになる。
当社のサービスでは、承認した購入に対してのみ、手数料が発生する。不正判定したトランザクションには、手数料を掛けていない。「正当な注文だが不正判定をしてしまう」といった、グレーゾーンの事例をできるだけ少なくし、導入企業の売り上げを最大化できるサービスといえる。
これまでのECの不正判定のツールは、不正購入の可能性がある注文に対して警告を運営者に示すことはできるが、最終的に運営者が目視で判定しなければならないケースが多かった。完全な自動化に至っていないことがほとんどだった。
当社のツールでは、不正判定はすべて自動で行う。仮に不正注文を承認してしまった場合でも、当社がチャージバックを100%保証している。
世界で4番目に大きい日本のEコマース市場に期待
――日本での展開を強化する理由は?当社では、日本を世界で4番目に大きいEC市場だと捉えている。当社のサービスのもともとの導入企業である、大手海外ブランドなども、日本のEコマース市場を有力な市場だと捉えている。
一方で、昨今の世界的なインフレや物価上昇の影響で、EC事業者のコストが増大している。「送料無料」や「返品無料」といったサービスも利益をひっ迫する要因となっている。
不正購入も、ECのコスト増加にさらに拍車をかけている。不正購入を防止することは重要だが、正当な購入にもかかわらず、不正と判定してしまうグレーな判定が、特に企業の利益の足かせになっているのだ。
Riskifiedは、ECサイトの不正判定の承認率を引き上げられるため、収益性の高いビジネスを支援できる。
日本における成功事例を一つ挙げるならば、約4000万人の会員数を持つ日本最大級のエンターテイメント総合サイト「DMM.com」を運営するDMM.comが、不正行為とチャージバック・コストからの保護を目的として、 Riskifiedの不正防止ソリューション「チャージバック保証」を採用した。
当社の日本での存在感を高めていきたい。当社のサービスを導入すれば、「不正判定の自動化によるリソースの削減」「チャージバックの削減」「承認率の増加による収益の増加」「顧客体験の改善」という四つのメリットを享受することができる。