2023.01.30

【データに見る「ECの地殻変動」】<第11回>50代以上のECニーズ掘り起こしに商機

統計データに基づくと歳を重ねるにつれ、収入は徐々に増える傾向が見て取れる。収入増は可処分所得増に直結する。したがって加齢により自ずと支出額も増える。

総務省家計調査によれば世帯主の年齢が20代(正確には29歳以下)の1世帯の月間支出額は15万7758円。これが50代になると28万7933円と大きく跳ね上がる。ところが定年退職なども影響してか、60代は25万1343円とやや減少。つまり支出額は加齢と共に増え続け、50代でピークを迎えた後、60代以降は減少する。

ライフステージをステレオタイプ的に表現するのは今の時代そぐわないかもしれない。だが一般論でいえば30代、40代は子育て、住宅ローン、教育費などの家計負担が大きい世帯が多そうだ。

50代でそれらは一服するものの、老後を見据え支出は資産形成とのにらめっこ。世帯構成人数の違いや共働き世帯数の増加、独身世帯数の増加もあり、年代別に支出傾向を論じるのは難しい面はある。しかし、概ね年代毎に支出の種類、支出先、金額等には特徴があると見るのが自然だろう。


若年層で高いEC化率


そう考えていたら年代別のEC化率を算出したくなった。筆者独自の手法で挑戦してみたところ2021年における20代のEC化率は22.4%、30代は19.0%。全体値である8.78%よりもかなり高い。とはいえまあ想定内といったところか。

40代は10.9%と全体値よりやや上。ところが50代以上は3.5%と大幅ダウン。推計リソースの都合で50代以上がひとくくりになってしまうため、このような推計結果になった。個人的な感覚でいえば50代だけだと7~8%あたりではないだろうか。



あらためて推計値を眺めて見ると20代や30代の高いEC化率に比べ全体値の8.78%は小さく映ってしまう。

どうやらこれは人口構成が影響しているようだ。20代の人口は1250万人、30代は1369万人。それに対して50代は1736万人、60代は1502万人。70代と80代を合算すれば2602万人になる。まさに高齢化社会を表すリアルな数字だ。

要するに20代、30代はEC化率が高くても支出額は大きくなく、人口も相対的に少ない。EC化率の全体値が薄まる理由はこの点にある。

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