2023.01.20

【EC事業者に聞く!2023年の戦略】シュゼットHD 蟻田剛毅社長「店舗の存在がEC売上高増加の要因に」


洋菓子ブランド「アンリ・シャルパンティエ」を展開するシュゼット・ホールディングス(HD)は2022年、堅実にEC売上高を伸ばしたという。伸長の背景には、百貨店などに出店している店舗の存在が関係している。店舗とECの双方で増収につなげる同社の蟻田剛毅社長に2022年の振り返りと2023年の事業戦略、原材料高騰対策などを聞いた。


2022年の当社は多くの菓子通販事業者と同様に、巣ごもり需要が落ち着いたことで、通販の伸び率が鈍化した。だが何とか成長を継続し、グループの売上高は初の250億円を突破した。2022年9月期のEC売上高も前期比約10%増だった。なぜ苦しい中でも売上高を伸ばせているのか、それは店舗の存在が関係していると考えている。

2022年はオフラインの動きが活発化したこともあり、消費者は菓子などをデパートや商業施設で購入することが増えた。当社にもこの流れはあり、店舗売上高は好調に推移した。だが、同時にEC売上高も順調に伸ばすことができた。

店舗で商品を購入した人が、次にギフトを購入するときはECで購入してくれたのではないかと推測している。実際にコロナ禍で一部の店舗を閉めたが、不思議なことに、店舗を閉めると、閉めた地域の人からのEC購入が減る。改めて店舗の重要性を痛感した1年だった。

店舗以外だと、コールセンターのアウトバウンド(営業提案)も積極的に行った。休眠顧客や休眠顧客になりそうな顧客に対して、「新商品やお薦め商品の提案」「歳暮が近づいてきているが当社の商品購入はいかがか」などを聞いて、商品の想起と購入につなげた。

原材料費については小麦価格の据え置きには随分助けられた。価格据え置きで商品の量を減らすという施策を取る会社も多くあると思うが、当社は逆張りで、生ケーキを値上げして商品の豪華さとボリュームを増やす施策を取った。昨今言われる一点豪華主義の流れに乗ったのか、該当する商品群は売り上げ・客数ともに増加している

2023年の事業戦略としては、大容量の商品を開発することにはこだわりつつ、すぐに動ける人材育成に注力していく。コロナもそうだが、ここ数年、世の中が急速に移り変わっている。何か予期せぬことや売り上げが下がったときに、すぐ行動に動ける人材こそ、これから重宝されるだろう。そのような人材を育成していく。




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