大手バッグメーカーのエースは2022年5月、フェムテック商品を扱うセルフケアブランド「pace(ペース)」の提供を開始した。ブランドを立ち上げたのは、入社4年目の市川美樹氏。リリース時にはメディアに数多く取り上げられ、注目度が高まっている。
「ペース」は2021年5月に行われた新規事業の社内公募により誕生した。市川氏は、「フェムテックは、女性として興味のある分野だった。吸水ショーツを作りたいと思い手を挙げた」と話す。
▲オーガニックコットン吸水サニタリーショーツ一般的な吸水ショーツは、経血が目立たないよう、パット部分が黒いものが多い。市川氏は経血の色や量が見えづらいと、体調の変化などを見逃してしまうと考え、パット部分をあえてグレーにした。女性目線で「もう少しこうだったらいい」と思う部分を取り入れ、商品開発を行った。
▲着心地やパット部分のカラーにもこだわった。(写真はレギュラータイプ)事業化する際、実際に女性が興味や関心があるアイテムを展開したいと思い、女性社員にアンケートを取ったという。PMS(月経前症候群)や生理のときに感じるストレスなど、精神面をケアする商品に興味を持つ声を受け、「CBDオイル」や「和漢ブレンドティー」などもブランドのラインアップに加えた。
▲写真像左から「CBD5%オイル」「デリケートケアミスト」「CBDロールオン」も展開▲パッケージにもこだわった「和漢ブレンドティー」同社はこれまでバッグを通して人の移動をサポートしてきた。「女性が快適に移動する」ことをサポートするためのセルフケアブランドも延長線上にあると考えている。「商品はポーチなどに入れて持ち運べるサイズで、旅行や出張などでも、これを持っていれば安心というアイテムを展開していきたい」と市川氏は言う。
▲営業本部の市川美樹氏新規事業を提案してから、コンセプト作りや商品開発までの大半を市川氏が1人で行ってきた。発売時にはライフスタイル誌「CREA(クレア)」や、ファッション専門紙「WWD」などに取り上げられ、話題を集めることに成功した。
販売チャネルはECがメインで、プロモーションはSNSなどを中心に展開している。ECサイトの運営やマーケティングなど、市川氏にとって初めてのことが多く、思うようにいかないこともあったというが、リピート購入する顧客も増えており、手応えを感じているようだ。
今年10月からはEC事業の部署に加わり、運営体制を強化する。10月14~16日に開催する「Femtech Fes!2022」に参加したり、ポップアップ出店を行ったりすることで、ブランドの認知向上も図る。
今後、同社のメイン商品であるバッグと組み合わせたPR展開も検討しているという。