2022.01.29

法改正や新規制は見送り、悪質事業者は厳正な法執行へ 第6回アフィリエイト検討会で報告書案に異論なし

1月28日に第6回検討会を開催 報告書案をベースに委員が個々の意見を述べた


消費者相談の多い上位50社が相談の8割占め


アフィリエイト検討会における消費者庁の報告によると、令和元年度に受け付けたPIO-NET(パイオネット)上の相談件数は約5万件にのぼっており、このうち、消費者相談の多い上位 10 社で全体の約半分の消費者相談となった。また、相談件数のうち約 80%を上位50社が占めるという。

これを踏まえて、日本アフィリエイト・サービス協会会長の河端伸一郎委員は「悪質な事業者は(不当表示につながる行為を)繰り返していることがほとんど。広告のクリエイティブ単位ではなく、事業者単位で悪質性を判断し、徹底的に排斥する必要がある」と訴えた。

弁護士の池本誠司委員は、景表法の解釈運用の周知徹底では不十分な場合は、今後の検討課題として、必要に応じて景表法に明文規定の設置を検討するべきではないかとの考えを述べた。


消費者教育の重要性を喚起する声も


一方で、公益社団法人日本通信販売協会の専務理事の万場徹委員は、事業者ばかりに責任を追及するのではなく、消費者教育についても議論していくべきだと指摘。「特商法では、悪質事業者を規制・排除する目的で繰り返し法改正を行ってきた。しかし、改正法を守るのは悪質な事業者ではなく、悪質性のない一般の事業者にとどまる。この悪循環を防ぐためには、消費者が選択眼を磨くしかない」(万場氏)と話した。

万場氏はさらに、今回のような検討会では、経済学的な知見をもつ経済学者にも参加してもらい、経済の効率性を含めた多面的な議論を行う必要があると述べた。その上で、「景表法が26条に定める『表示の管理上の措置』や方針を具体化する上では、関係者の意見を広くヒアリングして、実態に沿った形で、実効性のある策定を願いたい」(万場氏)とした。

一般社団法人日本アフィリエイト協議会代表理事の笠井北斗委員は、悪質事業者の優先的な排斥には同意しながら、「細かい部分の施策や整備が、現行のベストプラクティスに反するようなものになると、真っ当な事業者の不利益につながる。消費者にもマイナスの影響を与えかねない。一律な規制を設けるのではなく、各業界関係者の対応をヒアリングしながら進めてほしい」と要望した。

委員からは、自主規制が重要な役割を担うとする声も挙がった。岡山大学大学院法務研究科教授の佐藤吾郎委員は、事業者団体による自主規制の内容、実施状況、効果を定期的に把握できる仕組みを構築するべきではないかと考えを示した。今後、立法論を含めた今後の対応を検討する場合に、こうした状況の把握が検討の基礎になるとみている。




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