2019.11.21

【M&A後の展望を聞く】Appier チハン・ユーCEO × Emotion Intelligence 太田麻未CEO

AI駆使のマーケ支援を一気通貫で


人工知能(AI)テクノロジーの有力企業であるAppier(エイピア、本社台湾、チハン・ユーCEOは10月16日、ウェブ接客ツールを展開するEmotion Intelligence(エモーションインテリジェンス=Emin、本社東京都、太田麻未CEO)を買収したと発表した。Eminの提供しているウェブ接客ツール「ZenClerk(ゼンクラーク)」を「AiDeal(アイディール)」に改称し、Appierの製品群の一つとして提供を開始している。Eminがアジアの誇るAI企業の傘下に入ることで、ウェブ接客ツールはどのように進化するのか。両社はどのようにシナジー効果を発揮するのか。AppierのユーCEOとEminの太田CEOにM&A後の展望を聞いた。


――Appierとはどんな企業か。

ユー:企業の経営課題を解決するためのAIプラットフォームを提供している。具体的にはECやアプリ、ブランド企業向けの広告ソリューション「CrossX(クロスエックス)」、企業向けデータ分析予測「AIXON(アイソン)」、マーケティング自動化エンゲージメント「AIQUA(アイコア)」を提供している。AIを長く手掛けており、Appierは7年間事業展開している。私の仲間は10年くらい、私個人は20年くらい前からAIに近いことを研究している。

AIには①データ②アルゴリズム③アプリケーションの3要素があり、当社はこの3点をカバーしている会社として最も進んでいる。多くのAI企業はデータを活用しているが、当社はデータ資産を持っており、顧客企業の持っていないデータ部分を補うことができる。

アルゴリズムにおいては、世界トップクラスの技術者をそろえている。最先端の技術だけでなく、多様な顧客企業に対応できるスケーラビリティーを備えている。EminをM&Aしたことで、マーケティングにおいて新規顧客の獲得、コンバージョン、維持まですべてがそろった。

1年前から接点


――両社の接点は。

ユー:当社にEminを知っているメンバーがいて紹介してもらった。昨年の冬だったと思う。

太田:AIにフォーカスした事業を展開しており、コンセプトが近い会社だと思った。「AiDeal」も良いツールだが、まだ足りていないところがあった。Appierと組めば、その足りない部分を補完できると思った。すぐに事業を一緒にやっていきたいと感じ、ユーも同じように興味を持ってもらえたと思う。M&Aの打診は当社から行った。

ユー:顧客企業から話しを聞くと、購入に至るところでの課題が大きいと言われることが多い。特にアジアのクライアントはそう言う。Eminはそこを解決する仕掛けを持っていた。

例えば、私はクーポンなしでも買う人間で私の奥さんはクーポンがないと買わない人間だとすると、一般的なクーポン施策では2人ともクーポンをもらえてしまう。「AiDeal」では、AIが予知してコンバージョンを上げることができる。クーポンがないと買わない人にだけ配布することで費用を抑えることができる。

当社にも大きなEC事業を手掛けているスタッフがいたが、ディスカウントの費用だけで何百万ドルもかけていた。ディスカウントだけでは効果が見えないし、もっと効率的な施策が必要だと話をしていた。

Eminが日本でこれだけ活躍しているとは知らなかったが、非常にいい仕事をしているとしていると思った。太田CEOの会社を引っ張っていく姿勢にも好印象を持った。


ーーグローバルには「AiDeal」のようなサービスはなかったのか。

ユー:ユーザーを購入に導く部分に特化したサービスはなかった。「AiDeal」はグローバルでも普及するチャンスがあると思う。

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