2021.10.11

ペンシル、コロナ禍のシニア消費動向調査の第3弾公開 行動開始には『慎重』だが『消費意欲』は強い

研究開発型ウェブコンサルティング事業を展開するペンシルは10月5日、最初の緊急事態宣言から約1年半が経過した現在の高齢者の生活状況の変化や、終息後の消費意向など、シニアの消費行動特性の把握を目的として実施した「新型コロナウイルスの影響によるシニア消費動向調査 第3弾」の結果を公開した。シニア世代の高いワクチン接種率に反し、「安心している」と答えた人は64%に留まり、引き続き感染に対する不安を抱える人が多いことなどがわかった。

【<画像6点>シニア消費動向が分かる調査結果のグラフはこちら】

ペンシルでは、日本のシニアの消費行動特性の把握を目的とした「新型コロナウイルスの影響によるシニア消費動向調査」を実施しており、2020年4月に発表した第一弾、同年5月の第二弾の調査結果に引き続き、このほど第三弾の調査結果を公開した。コロナワクチン接種も進んでいる今、高齢者の生活状況はどのように変化しているのか、また、アフターコロナにおける活動や消費意向、高齢者が企業に期待することなどをアンケート形式で調査し、マーケターや企業が抑えるべきポイントを考察している。第三弾の「新型コロナウイルスの影響によるシニア消費動向調査は、2021年9月8日~9月12日に実施、全国の54歳~103の男女188名から回答を得ている。

コロナワクチンの接種状況を尋ねた問いでは、85%が「2回接種をした」と回答。「1回だけ接種」も含めると90%の人が接種者であることがわかった。一方、ワクチン接種者に対して接種後の感想を尋ねた問いでは、「とても安心している」(10%)、「まあ安心している」(54%)と答えた人の合計は64%に留まった。次々に現れる変異株やワクチン接種済の人の感染(ブレークスルー感染)のニュースによる感染不安が影響していると推察した。



就業形態の変化を尋ねた問いでは、「通常勤務を継続」と回答した人の数が、前回調査時は22%から28%に増加した。「テレワーク勤務」と「時差勤務」と回答した人が若干減少しており、徐々にコロナ禍以前に戻りつつあるようにもみえるとしている。一方で感染対策に対する意識は引き続き高く、「新型コロナウイルス感染症に対する意識・思考の変化」を尋ねた問いでは、65%が「昨年同様に常に注意している」、19%が「より注意して外出を控える」と回答しており、当初の予想に反し、多くのシニアがワクチンの2回接種後も、かなり不安を感じていることがわかった。



最近の消費金額の変化を尋ねた問いでは、「変わらない」が53%、「増えた」が17%となった。購入商品の支払い方法を尋ねた問いでは、最多がクレジットカード(37%)で、電子マネー(27%)、現金(25%)続いた。スマホ決済も11%の回答を得ており、クレジットカード、電子マネー、スマホ決済の電子決済が全体の75%を占めた。電子決済が大きく伸びた一方で、シニア特有の現金支払いも根強く残っていることがわかった。



情報収集の手段を尋ねた問いでは、「テレビニュース」(28%)、「ネットニュース」(25%)、「新聞」(20%)が上位を占め、これらで70%を超えた。新聞の割合が多く、SNSが少ないのがシニアの特徴ともいえるとしている。情報収集の頻度については、「以前と変わらない」が最多の56%を占めた。2020年4月時の調査では、「以前よりも増えた」が最多の68%となっており、コロナ禍の不安からニュースをみる頻度が急増していたが、最近は情報の収集も安定して習慣化していると予想できるとした。



アフターコロナについて、再開したいことは「国内旅行」が最も多い。外食や趣味の集まりなど、緊急事態宣言の影響を受けてきた項目も多く、なにげない日常の行動に戻すことを望んでいることがわかった。旅行に対する現在の気持ちを尋ねた問いでは、「コロナ禍終息宣言後に行きたい」と「もう少し様子をみてからにしたい」がともに20%で最多となった。「今すぐにでも行きたい」は15%に留まり、行動の時期は慎重であることがわかった。コロナ禍終息後に行きたい施設としては、圧倒的に「温泉施設」が多く、次に「劇場・コンサートホール」「美術館・博物館」など文化施設が続いた。シニアは行動開始には慎重ではあるが消費意欲は強く、アフターコロナの需要のための準備は重要であるとの見解を示した。



コロナ禍で好印象をもった企業を尋ねた問いでは、「コロナ患者にホテルや会議室を提供した企業」「異業種から医療物資などを生産した企業」「医療従事者に無料で弁当を提供した企業」が多くの回答を得た。自社の特徴を活かして社会的な支援をしている多くの企業がある中で、シニア層が最も好印象をもったケースは、政府・自治体や医療従事者などに直接的に支援している企業だった。良い印象を持った理由は、「利益を度外視して対応しているから」「発想が柔軟で変化に強い印象があるから」「弱者救済の思いが強い会社だから」が上位となった。



なお、ペンシルのWebサイトでは、同調査のレポート全文をダウンロードすることができる。




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