2024.10.07

【データに見る「ECの地殻変動」】<第31回>顧客企業のITコスト率をベンダーは意識しているか?

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カートシステムの導入や運用には費用が必要である。MA(マーケティングオートメーション)やCRMのシステムも然りだ。

ユーザー企業がEC事業を行う場合、そのようなITコスト(ここで言うITコストには減価償却分も含む)は不可避である。どのような事業でも利益の最大化のためにはコストコントロールが鍵となる。

IT製品は安価なものとは限らない。どのIT製品が自社にとって最適なのか費用対効果を見極めていることと思う。

そこでITコストが経営にもたらす財務面の重さについて可視化してみたい。グラフの通り小売業の売上高営業利益率(以降利益率)は概ね2.5~3.0%の範囲で推移している。

製造業は4~6%、サービス業や不動産業はさらに高い値だ。つまり小売業は他業種より利益率が低い。利益率が低いとITを含む何らかのコストが急激にかさんだ場合、その金額次第で経営が揺らぎやすくなる。当然ユーザー企業は敏感にならざるを得ない。

ではITコストは実際にはどれくらいだろうか。筆者の推定では売上高ITコスト比率(以降ITコスト率)は製造業、小売業、不動産業は共に1.0~1.5%と見る。またサービス業はもう少し高く2.0%あたりと予想する。

仮に小売企業があるタイミングで大型のIT投資を行ったとしよう。ITコストが3%になった途端、利益が吹っ飛んでしまう。小売業以外でも同レベルのIT投資を行った場合、利益率を押し下げてしまう計算になる。

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