2024.06.25

三陽商会、回収した衣料・雑貨の「認定リユース品」販売 独自のリユース事業確立へ

販売を開始した「三陽商会認定リユース品」 販売1号店「サンヨーG&Bアウトレット落合店」の店内

総合アパレルメーカーの三陽商会は6月21日、「サンヨーG&Bアウトレット落合店」において、回収活動により集まった衣料品・雑貨製品から、状態の良好なものを選定し仕上げを施した「三陽商会認定リユース品」の販売を開始する。消費者が安心して使用できる商品の特別価格での提供すべく、3年目以降の拡大を視野に、自社ならではのリユース事業の確立を目指す。

三陽商会では、資源やエネルギーの使用、ライフサイクルの短命化などの観点から環境負荷が大きいファッション産業において、自社が事業会社として存続していくためにはサステナビリティと事業を両立させるビジネスモデルの確立が必要であるとし、自社が取り組むべき重要課題として2023年3月に公表した4つのマテリアリティの1つ「サーキュラーエコノミーへの取り組み」において、有限な資源を効率的に活用し、持続可能なかたちで資源を循環利用する「資源循環型社会」の実現への貢献を目指している。

このマテリアリティへの取り組みの一環として、2024年3月28日より、リユースを前提とした衣料回収活動を開始しており、自社が製造した衣料品・バッグなどの一部雑貨製品を直営店、対象百貨店内のブランド各売場にて回収している。

このほど、回収活動により集まった衣料品・雑貨製品から状態の良好なものを選定し仕上げを施した「三陽商会認定リユース品」の販売を開始した。


▲「三陽商会認定リユース品」の一例

販売するリユース品は、回収した衣料品・雑貨製品を自社独自の基準を設けて丁寧に仕分けし、クリーニング、仕上げ(アイロンがけ等)、検品等を実施することにより品質が保たれた「三陽商会認定リユース品」で、特別価格にて販売する。丁寧に仕分け、クリーニング、検品されたリユース品を販売することで、一貫して顧客に対して安心・安全な品質の供給を目指す。


▲仕分けの様子 三陽商会 東日本商品センター(物流倉庫) :千葉県・市川市


▲クリーニングの様子

リユース品販売1号店となる「サンヨーG&Bアウトレット落合店」(東京都新宿区)は、国内にアウトレットモールが広がりを見せる前の今から40年前、在庫品の廃棄削減を目的に三陽商会のアウトレット1号店として1984年にオープンした店舗であり、この度の自社のリユース事業においても販売1号店となる。


▲サンヨーG&Bアウトレット落合店 外観

「サンヨーG&Bアウトレット落合店」1階の店内什器には、施工会社がリースで使用していた製品を当社が買い取り再利用する。リユース什器のうち、木材を使用した什器は間伐材を使用。その他にっも、卵殻を原料に用いたトルソーや紙製ハンガー、再生素材のカーペット等を店装の一部に採用した環境に配慮した店装となる。自社のリユース事業についての説明パネルの展示をはじめ、衣料回収ボックスの設置により、リユース事業や回収活動を訴求していく。


▲卵殻を用いたトルソー


▲衣料回収ボックス

三陽商会では、3R(リデュース・リユース・リサイクル)活動の総称を「SANYO RE: PROJECT(サンヨー・リ・プロジェクト)」とし、その一環としてリユースを前提とした衣料回収活動を行っている。今回の回収品の再販にあたり、リユース事業のブランド名を「RE: SANYO(リ・サンヨー)」に決定。「三陽商会認定リユース品」として販売における商品下げ札等に使用していく。


▲リユース事業ついての説明パネルの展示

物価の高騰によりリユース品の需要が高まりを見せ、日本のリユース市場規模が年々拡大傾向にあることから、この市場環境の変化への対応が必要と捉えたこともリユース事業の取り組みの背景の1つに挙げた。

2024年3月より開始した衣料回収活動では、2024年8月末迄にEC・アウトレットを除くほぼ全売場で回収活動の実施を目標に、年間の回収目標点数を5万点に設定している。5月末日時点での回収実施売場数は583売場で、回収点数は1万点を超えており、自社が再販しない回収品はリサイクルにより資源の循環を図るとしている。

今後、リユース品販売については、2024年度下期に新たに「サンヨーG&Bアウトレット」の2店舗での販売開始を計画。3年目以降の拡大を視野に、初年度~2年目はトライアル期間としてさまざまなな検証を重ねる予定としている。

三陽商会は、「ファッションを通じ、美しく豊かな生活文化を創造し、社会の発展に貢献します。」という経営理念のもと、長く愛用できる良質な製品づくりを基盤としており、自社のものづくりと、メンテナンスやアフターケアを行う長期着用推進の延長線上にあるものとして、自社ならではのリユース事業の確立を目指していく考えを示した。




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