2024.06.20

【ヒット商品の裏側】ニコリオ、『ラクビプレミアム』の快進撃続く 秘訣は「開発力×広告クリエーティブ」

健康食品のECを展開するニコリオでは、酪酸菌の機能性表示食品「ラクビプレミアム」がヒットを続けている。2022年10月の発売から4カ月で20万個を販売し、現在も同様のペースの売れ行きを維持しているという。

ニコリオでは、「ラクビプレミアム」の前身の「ラクビ」や、「こうじ酵素」などのヒット商品を数多く持つ。ユニークでストーリー性のある製品を開発するOEMメーカーと、開発のストーリーをクリエーティブに落とし込む広告代理店の舵取りが、ヒットの秘訣のようだ。


ストーリーを掘り下げる


ヒットを続けている「ラクビプレミアム」は、酪酸菌を機能性関与成分とした、初めての機能性表示食品だ。「継続摂取により、善玉菌(酪酸菌)、短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸)を増やし、便秘気味の方の腸内細菌叢(さいきんそう、腸内フローラ)、腸内環境を改善する機能、BMIが高め(23以上30未満)の方のお腹の脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)、ウエスト周囲径、体脂肪率を減らし、体重が減少するのを助け、高めのBMIが低下するのをサポートする機能があります」と機能性を表示している。2023年11月には、「便通改善」の機能性も追加した。



ニコリオの中上元弘社長は、「売れ続けているのは、商品と広告のクリエーティブが掛け合わさった結果だ」と話す。


▲中上元弘社長
 
健康食品や化粧品のD2C市場では、新しい広告のクリエーティブを絶えず作り続け、さまざまな媒体でテストして効果を試し続けるのが定石だ。メーカーがクリエーティブを主導するケースもあるが、広告代理店が主導的に制作するケースも多い。


藻類由来の「フコース」の新製品も


ニコリオでは、製品の開発を行ったOEMメーカーや原料メーカーにヒアリングし、広告制作に生かせるストーリーや背景を掘り下げ、広告代理店に情報提供しているという。
 
「ラクビプレミアム」では、機能性関与成分の「酪酸菌」「3ー(4ーヒドロキシー3ーメトキシフェニル)プロピオン酸(HMPA)」を採用した背景や、成分の分かりやすいストーリーを、クリエーティブに採用した。ニコリオの会社のストーリーや、中上社長自身にフォーカスを当てたクリエーティブがヒットしたこともあったという。
 
2023年に発売した「体重・脂肪の減少」「紫外線ケア」を訴求する機能性表示食品「pomdin(ポムジン)」では、機能性関与成分である「りんご由来プロシアニジン」について、「ある酒造メーカーが100年も研究してきた素材である」というストーリーをクリエーティブに落とし込んだという。
 
「成分は唯一無二でも、ヘルスクレーム(機能性表示)は、他の機能性表示食品と差別化しづらい。製品に説得力を持たせ、お客さまにインパクトを与えるために、ストーリーを掘り下げることが欠かせない」(中上社長)と話す。
 
ニコリオでは、新製品の開発に当たって、中上社長から「お題」が社員に与えられ、企画の開発がされるという。「今回は腸活の領域で商品開発しよう」と中上社長が号令すると、「腸活」を中長期的なポートフォリオとしつつ、社内で具体的な製品の開発を募るとしている。ポートフォリオを社内で共有することで、目指す領域の共通認識を社内で生み、開発メンバーや広告の運用メンバーの向くベクトルを同一にしているそうだ。
 
社内で挙がった、製品開発の企画を、OEMメーカーと共同で企画し、製品化に向けて進めていくのだという。広告のクリエーティブに生かせそうなストーリーを開発段階で盛り込んでいくとしている。
 
ニコリオでは6月10日、「フコース」を機能性関与成分とする「腹部の脂肪・体重・ウエスト周囲径の減少、便通改善」を訴求する機能性表示食品「フコジー」を発売した。「フコース」は、褐藻類由来のネバネバ成分であるフコイダンを構成する単糖だ。


社内の研究チームが特許取得も


ニコリオでは、乳酸菌の研究開発企業であるバイオ研と共同で、「腸内における短鎖脂肪酸、特に酪酸、プロピオン酸等の産生を促す」効果を有するニコリオ独自の乳酸菌「フローラエイド乳酸菌」の特許を取得した。
 
ニコリオでは、社内に研究開発に特化したメンバー2人を擁しており、大学などとも共同研究を行っている。「フローラエイド乳酸菌」の研究では、「短鎖脂肪酸を産生する」というポイントに着目し、これまで製品化されてこなかった菌株がないかを調査したという。すでに特定の菌株について研究している大学や、ニコリオが探した菌株を研究してくれる大学を探し、特許の取得にまで至ったのだとしている。
 

▲ブランド開発本部 野村直樹本部長

「フローラエイド乳酸菌は、短鎖脂肪酸を産生する以外にも、複数の機能性が考えられている。いずれは、ニコリオ独自の機能性関与成分にできるよう研究開発を続けている」(ブランド開発本部長 野村直樹本部長)と話している。




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