2024.03.05

【データに見る「ECの地殻変動」】<第23回>物流問題の解決はデータによる状況の可視化から

2024年が幕を開けた。そう、今年のEC業界の最大のテーマの1つは物流問題だ。

と言っても物流問題が2024年に突然、表面化したわけではない。EC市場規模の拡大に伴う宅配ドライバーの労働環境の悪化など以前から物流業界では課題が顕著化していたことは既知の通りである。

とはいえ何についてどれくらい問題があるのか数字できちんと理解している人はおそらく少ないだろう。そこで今回は4つのデータから物流業界の現状を俯瞰してみたい。




運転手不足はひっ迫


まずは労働力について。2023年11月時点のトラックドライバーの有効求人倍率は2.78倍と高い。全体平均が1.27倍、個別にみると事務従事者は0.43倍、機械組立従事者は0.79倍なので、ドライバーの人材不足のひっ迫感が数字から伝わってくる。

今年から時間外労働上限規制が始まるのでこの数値はさらに高くなるだろう。しかし介護サービスは3.53倍、建設従事者は6.16倍とトラックドライバーよりも高い点には留意したい。つまり人材のひっ迫はトラックドライバーだけではない。


再配達率は横ばい状態


2点目は再配達率について。2023年10月時点の再配達率は11.1%だ。ピークは2019年4月の16.0%であり、緊急事態宣言が初めて発令された2020年4月に8.5%と急改善した。

だが2020年10月には11%台にあえなくV字反転し、その後は横ばいが続いている。参考までに筆者試算のECでの年間宅配便個数は、約45億個なので、約5億個が再配達されている計算だ。

なお2021年に政府が掲げた再配達率の目標値は2025年時点で7.5%。このままだと目標達成は厳しいだろう。

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