「カートシステム」ともいわれるECサイト構築サービスを、ECのウェブメディア
「eコマースコンバージョンラボ(ecclab)」と共同で、91サービスを収録したカオスマップにまとめた。業態業種を問わず活用できる「総合カート(Total)」はシステム形態別に分類。カテゴリー特化型の「専門カート」は、定期購入型の「リピート(Repeat)」、海外販売向けの「越境EC(Cross-Boarder)」、法人間取引向けの「BtoB」に分けている。他にも販売店網を活用したECシステム「BtoBtoC」、リアルとネットの連携システム「オムニチャネル(Omni-Channel)」、ECモール構築用の「モール(Mall)」も紹介。新たに実店舗向けのECシステム「リアルストア(RealStore)」と、レンタルEC構築用の「レンタル(Rental)」を追加している。アンケートの回答により、主要サービスの比較表も作成。注目サービスは記事で詳しく紹介している。
91サービス収録のカオスマップ<完全版>
コロナで無料カートの利用拡大
コロナ禍で実店舗の運営がままならない中、ECサイトを構築する動きが加速した。実店舗メインの小売店や飲食店がECを開始するケースが増えた。
特に機能の個別カスタマイズはできないが、手軽に導入できる「ASP」は、新規参入事業者に選ばれている。中でも「BASE(ベイス)」「Stores(ストアーズ)」など、無料から導入できるサービスの利用が急増した。
手軽にECサイトを開設するには、これらのサービスは便利だが、本格的にEC事業を運営する際に、機能面などで制限が生じる可能性がある。
あるECベンダーは、「インスタントカートは急に閲覧数が増えた際に、アクセスを制限する場合がある。共用サーバーを活用しているのはASPも同様だが、無料で新規利用者が増えると制限をかけられるケースも増える」と話す。
機能面でも有料サービスの方が充実している。CRMやマーケティングの機能などで差が出るようだ。ただ、インスタントカートも急速に機能面を拡充しており、無料で開始し、本格的な店舗運営を実現している事例も増えている。
Shopifyなど海外勢が躍進
ECサイト構築サービスで台風の目になっているのは、カナダ発の「Shopify(ショッピファイ)」だ。国内参入当初は、日本向けの決済が不十分だったり、機能を追加できるアプリがローカライズされていなかったりと、国内企業が導入しにくい面もあった。
ただ、決済手段が拡充し、日本向けのアプリは増えている。さらに、「Shopify」を活用した、ECサイト構築を支援する制作会社が増えた。英語や開発に不慣れでも制作会社が代行し、グローバルで実績のあるシステムを活用できるとあって、海外販売を視野に入れた事業者などから支持を集めている。
海外勢でいうと「Cafe24」も注目を集めている。無料から導入できるだけでなく、AIを活用した高度な機能まで手軽に導入できる。韓国ファッションのECサイトのような、デザイン性の高いサイトを構築することも可能だ。
アパレル大手のTSIホールディングスの子会社にも採用され、注目度を高めている。