2024.02.13

【国内アパレル経営者最年少上場】yutori 片石貴展社長に「5年で上場の経緯」「今後の展望」を聞いた

片石貴展社長


売上拡大の3つの軸


――貴社の事業を見るとブランドの吸収だけでなく、 SNSマーケティングにも秀でている印象がある。このことも売り上げ増加に寄与しているのではないか?

確実につながっている。当社の事業としての強みは、主に①「NICOモデル」②SNSマーケティング③自律分散型ブランド運営――の3点だ。

「NICOモデル」とは、NICHE、ITEM、COLLABO、OFFLINEの頭文字を取ったものだ。ニッチだが熱量のある領域を選定し、アイコニック(象徴的)な商品として認知される商品企画を考案する。インフルエンサーや企業とコラボレーション(コラボ)し、認知を広げる。さらにポップアップイベントや店舗展開を行い、販路を拡大して収益を確保する。

具体例としては、9090がそうで、1990年代に流行したアイテムを現代のストリートシーンに落とし込み、リバイバルして展開している。ポケットモンスターとコラボし、特に「POCHAMA×9090」シリーズは爆発的な売り上げを記録した。

SNSマーケティングでは、ブランド公式アカウント、社内運用個人アカウント、インフルエンサーアカウントを活用し、三方向からコンテンツをSNSに投稿することで、ファンの獲得と継続購入を促している。

2023年11月15日時点で、TikTokのフォロワー数は161万人、インスタグラムは152万人、Xは3万人いる。このSNSの使い分けも重要だ。ティックトックの特徴はフォロワー数と再生回数に相互作用がないこと。そのため、フォロワーではないユーザーの閲覧によるエンゲージメントが高い動画がお薦め表示されやすい。エンタメ性を持たして、コスパ、値段訴求を強く行うことで、動画としてまわりやすくなる。

インスタグラムはフォロワー数が閲覧数に直結するため、フォロワー数でエンゲージメントが高い投稿が重要になる。リールをうまく使い、ブランドの世界観をどれだけ作れるかが鍵になってくる。

このほかにもUGC(ユーザー生成コンテンツ)の発生を促すマーケティングも行っている。キャッチーなロゴを用いた商品を開発し、自社コンテンツやインフルエンサーなどへのギフティングを行って、流行を現象化させる。

そうすることでブランドのファンによるUGCの投稿が活発化し、新規顧客にリーチできる。SNS運用に関しては、どこにも負けない自信がある。それだけこれまでに回数を重ねてきた自負がある。

――自律分散型ブランド運営についても伺いたい。

ブランド立ち上げ1年で、700万~1500万円の月間平均売り上げに達成しない場合は撤退する。月商で各ブランドを分類して、ブランドの成長パターンを定量化する。同時に撤退基準も明確化することで、次につなげることができる。

――今後のビジョンは?

若者ブランドを吸収して、そこにyutori流の手法で確実な成長につなげていきたい。アパレル事業に関しては、引き続きオーガニックな成長と、M&Aによるブランド買収で売り上げ拡大を目指していく。

まだ、どのブランドを買収するかは言えない。だが、Z世代だけでなく、30代以降の人も熱狂するようなブランドを吸収して、yutoriを大きくしていきたい。

また、こちらも詳細は言えないが、Z世代をターゲットにしたアパレル以外の分野にも進出していきたいと考えている。Z世代が「買うこと自体が楽しい」と思ってもらえるような商品を開発して販売していきたい。





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