2023.10.07

キャッシュレス決済利用が60%超、進むスマート化 電通デジタルがECと店頭を横断した購買行動の実態調査

電通デジタルはこのほど、生活者の行動が著しく変化している昨今における生活者の行動に寄り添った購買体験設計の支援のため、EC(オンライン)と店頭(オフライン)を横断した「EC・店頭をまたぐ購買行動実態調査2023」を実施し、その結果を公開した。キャッシュレス決済の利用が全体で60%を超えたこと、生活者の購買行動はスマート化の傾向が見られることなどがわかった。

電通デジタルは、新型コロナウィルス感染症による行動制限の自粛が解かれたことを背景に、生活者の購買行動の変化について、ECと店頭を横断した生活者の購買行動調査を実施し、その一部を公開した。調査期間は、2023年5月23日~29日で、2022年に引き続いての実施となる。

主要商品(13カテゴリー29商品)をベースに、認知・比較検討・購買・購買後の各フェーズにおいて、ユーザーがどのようなチャネルに触れ行動をしているのか、3000人を対象にアンケートを実施。生活者の購買行動を可視化するために、各フェーズにおけるメディアへの接触、決済方法、ポイント活用への意識など購買のデジタル化について、生活者が重視したポイントの詳細なデータを取得した。

買い物時に利用している決済方法(複数回答)では、現金やクレジットカードの利用率は引き続き高いが、キャッシュレス決済の利用も全体で60%を超え、キャッシュレス決済の利用が浸透していることがわかった。この傾向は、生活をより便利でスムーズにし、経済活動にも大きな変革を与える兆しと捉えることができるとしている。



商品の比較・検討フェーズでの利用チャネルをたずねた問いでは、「美容・コスメ」「食品・スイーツ」「日用雑貨」など多くのカテゴリーで1位となった「店頭」が変わらず高い数値を示しているものの、比較検討において、デジタルチャネルの影響力が大きいこともわかった。購入フェーズにおいても同様の傾向がみられたとしている。



ECモールでは、昨年に引き続き、認知・比較検討フェーズでの利用が高いことは変わらないが、購入フェーズでの利用も広がりを見せた。また、認知・比較検討フェーズで「企業の公式サイト」は全カテゴリーで選ばれ、SNSも上位にランクインするなど、デジタルメディアの重要性が高まっており、購買行動の多様化が進んでいる。

購入までの検討経路をたずねた問いでは、「オンラインもしくはオフラインのみで検討・購入した」人が81.5%と、2022年の75.6%から増加。ECと店頭の使い分けが複雑化していた2022年に比べ、生活者の購買行動はスマート化の傾向が見られた。商品カテゴリー別に特徴が出ており、生活者は自身に最適な接点を選択しながら、より効率の良い購買行動を確立し始めていると捉えることができるとの見解を示した。また、日本におけるEC化率は依然上昇傾向であることから、商品や企業のEC化には今後も注視が必要だとしている。



今回の調査では、13カテゴリー29商品の購買行動データを取得しており、ギフトカテゴリーにおいては、認知から購入までモール系ECの利用が店頭利用を上回り、他カテゴリーと比較してデジタル化が進んでいることがわかった。購入までの検討経路においても、「オンラインもしくはオフラインのみで検討・購入した」人が86.9%と多い結果となった。





ポイント収集の有無をたずねた問いでは、96.7%の人が「なんらかのポイントを収集」していると回答。購買のデジタル化において、重要な要素の1つとなっていることがわかった。生活者のポイントに対する考えをたずねた問いでは、「1ポイント刻みで使えるとよい」と考える人が約80%、「少額でも全員付与のキャンペーンに応募したい」と考える人が約75%などとなり、ポイントを少しずつ貯め、定期的に確認しながら、しっかり使い切る傾向が高く、生活者の高いモチベーションと堅実性が現れる結果となった。



次世代コマースへの興味関心をたずねた問いでは、Instagramのショッピング機能と、YouTubeショッピング機能の興味と認知が突出した結果となった。SNSが比較検討フェーズで存在感を示していることと、生活者の最適なチャネルの使い分けが進むことを考慮すると、次世代コマースの浸透は今後の生活者の購買体験向上に大きな影響を与えると予測でき、引き続き注視が必要な状況だと分析している。



これらの調査の結果を受け電通デジタルは、購買行動のデジタル化が進み、コマースマーケティングは変革期を迎えるとし、次のように考察した。

行動自粛が解かれ日常が戻りつつあるも生活者の購買行動に急激な変化は見られず、デジタルシフトは緩やかに増加した。また、本年度の特徴として、キャッシュレス決済の活用が全体で60%を超えるなど、店頭での購買のデジタル化浸透も進む結果となった。

認知・比較検討のフェーズでは、「モールEC」が引き続き多く利用された。購入フェーズでも使用割合を高めており、フェーズによりECと店頭を使い分けていた購買行動がシンプルになり、全体的に生活者の購買行動のスマート化が進んでいる。

さらに認知・比較検討のフェーズにおいて、「公式サイト」「SNS」の利用が上位に入っており、商品特性とメディア特性を掛け合わせたアプローチが今後の購買体験向上におけるキーであると捉えるできる。

ギフトカテゴリー市場のデジタル化が顕著に現れており、今年の特徴を特に表している。




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