2023.09.25

フェイラージャパン、SNS活用とリブランディングで若年層獲得に成功 過去最高月商を記録

八木直久社長

フェイラージャパンはリブランディングにより、若年層の取り込みに成功した。2023年8月度の月間EC売上高は、過去最高を記録した。インスタグラムを活用したファンマーケティングに注力したことで、ファンの年齢層の拡大やEC化率の向上といった成果も表れているという。

シュニール織のブランド「フェイラー」は、2022年に日本上陸50周年を迎えた。百貨店向け卸がメインだったが、2007年に小売を開始し、ECサイトも開設した。


▲人気の定番柄「ハイジ」

「特にECは顧客とのダイレクトなタッチポイントとなった。顧客データを持つことで、マーケティングや商品開発に生かせる」(八木直久社長)と話す。

2015年には、銀座に旗艦店とインスタグラムの公式アカウントを開設した。

「インスタグラムの開設から1年半くらいは、ただ商品情報や販売について一方的な『発信』をしているだけで、フォロワーもあまり増えなかった」(同)と話す。

そこで「ファンマーケティング」の視点を持ち、すでにファンが使っていた「#フェイラー」のタグを活用することにしたという。

「公式アカウントからタグを付けているユーザーに直接コメントをすることで、ファンとコミュニケーションを図った。『この商品が好き』『話して楽しい』という感情で『共感』されるようになり、手応えがあった」(同)と言う。

現在ではリアルでも交流の場を設け、商品開発で意見を聞くなど「共創」の段階にあるという。ファン同士のつながりも強く、一緒に旗艦店に買い物に行った話も聞いたという。

同社は2022年、「次の50年をアップデートする」という方針のもと、リブランディングに取りかかった。インスタグラムの運用強化や、話し合いを通じて社内での方向性を固めたことで、若年層を取り込み、ファンの拡大に成功した。

このリブランディングで、顧客のボリュームゾーンが変化している。2015年は60代以上の顧客が全体の約50%を占めていたが、2023年には30~50代の顧客が全体の約70%を占めるまで拡大した。

リブランディングでは「心はいつだって踊れる」のステートメントを掲げ、社内でブランドの存在意義について話し合いを重ねたという。

「品質の良さの『機能的価値』は変えてはいけない。50年受け継いできた『情緒的価値』をどうアップデートするか、ファンと『共感』しながら考えている」(同)と話す。


▲鞄などのアイテムも販売する

「商品の認知があっても、ブランド名と一致はされていないなどの余白はある。ECなどデジタル面を強化し、より愛されるブランドとしたい」(同)と意気込みを語る。

「ECで得られた顧客データに向き合い、動向などの解像度を上げていく。何が求められているかを把握し、新たな価値も提供したい」(同)とECの活用にも意欲的だ。






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