2023.01.26

「オンライン取引のハードル高い」 新経済連盟、「契約書面の電子化」の問題点を指摘

(一社)新経済連盟(新経連、事務局東京都)は1月20日、改正特商法の書面電子化に関する勉強会を開催、書面の電子化にかかる政省令案の問題点を指摘した。新経連は、「政省令案では、消費者の端末の画面サイズの制限や、チェックボックスによる承諾取得の禁止など、電子化のメリットを生かすという視点が欠けている。オンラインで取引しようとする人にとって、ハードルが高い規制となっている」と話した。
 
2021年6月に成立した「改正特定商取引法」では、「契約書面の電子化」が盛り込まれた。訪問販売や連鎖販売取引、特定継続的役務提供といった取引類型について、これまでの紙の書面の交付に加えて、消費者が承諾した場合に限り、電子書面の交付が可能になった。2022年10月にまとめられた、「契約書面の電子化に関する検討会」の報告書では、書面の電子交付の運用について、「消費者が電子書面の交付に承諾したことを示す控えの書面を紙で交付する」「書面並みの一覧性を有する機器を消費者が持っている」「電子書面の交付を選択することで財産的利益(ポイント)を提供することを禁止する」─といった内容が盛り込まれた。2022年11月には、報告書の内容を基にした政省令案のパブリックコメントが募集されていた。
 
新経連では、電子書面の交付の承諾について、「そもそも、書面をデジタルで交付することについて、控えの書面を紙で交付するなどということは、本末転倒でばかばかしい。消費者庁は、電子書面の交付を、いかに面倒くさくするかを考え続けている」と指摘。「政省令案では、消費者が最も分かりやすいはずの、『オンライン上でチェックボックスにチェックを入れる方式』はNGとしている。デジタルを生かすという観点がない」とも発言した。
 
報告書では、オンライン完結型の特定継続的役務提供に限り、契約書面と承諾書面の両方の電子交付が可能となっている。
 
契約書面の電子化が、政省令案のまま施行された場合の影響について、新経連では、「リアルとオンラインを組み合わせた学習塾のサービスやマッチングアプリなどは、オンライン交付の対象外となってしまい、事業者と消費者の両方に負担がかかる」と指摘。「事業を継続できなくなるというほどの規制ではないが、DXの潮流に逆行した規制だ」と話した。



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